わが社のある支店に、もう無茶苦茶に朝に弱いCくんという社員がいました。とにかく毎日のように遅刻をしてくる。ところがわが社では、勉強会や会議など、皆が集まる業務を朝早くに行う文化があります。日中にお客様から電話がかかってきた際に、「担当者は会議中です」などとお返事しては失礼になるためです。

 だから店長としてはCくんの遅刻を見逃すわけにはいきません。「管理不行き届き」として自らの出世にも響きかねないからです。そこで店長は、毎朝Cくんにモーニングコールをして起こしているのです。すごいでしょう? びっくりするほど低レベルですよね。

 しかし、本当に低レベルなのはこの先です。

 Cくんは店長がわざわざモーニングコールをしたのに、遅刻してくることが度々ありました。受話器を置いた後で、二度寝をしてしまうからです。そこで店長は、電話に出た彼の口調が寝ぼけているようだと察したときは、「こいつはまた寝るだろうな」と、わざわざ社用車で迎えに行ったりもしていました。文字通りの重役出勤です。これではどちらが管理職なのかわかりませんね。

筆者が経営する会社、武蔵野では必要に応じて、上司が部下に「モーニングコール」をすることも。(写真:theartofphoto/123RF)
筆者が経営する会社、武蔵野では必要に応じて、上司が部下に「モーニングコール」をすることも。(写真:theartofphoto/123RF)

高度なことを要求しない・低レベルなことを厭わない

 念のため申し添えておきますと、社長の私だって社用車での送迎なんかしてもらってはいません。その意味ではCくんは、社長の私以上の特別扱いを受けていたことになる。恥の上塗りをするようですが、これと似たようなことは他の支店でも発生しています。各店長は、それこそ出来の悪い小学生を持った母親のように、いわば「早く起きなさい」「ハンカチは持った?」などといった事細かな(そして低レベルな)指示を部下に毎日出している。それでどうにかこうにか組織が回っているのです。

 おかげさまで最近はわが社も世間的には多少名が通るようになりましたが、現実はこんなものです。しかしこういう低レベルなことを、低レベルだからといって軽んじることなく徹底して行っているからこそ、わが社は毎年のように増収増益を達成しているのです。──そういうとあなたは「社会人なのに、いくらなんでもそんなことまで…」とお思いになるでしょうね。

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