では、どうしたらよいのでしょうか。私がおすすめするのは、「とにかく新しいことを積極的にやって、自らのキャパシティを広げなさい」ということです。経験なくして成長はなく、成長なくして出世もあり得えない。結局のところ、あなたが管理職として同期から頭ひとつ抜け出せるかどうかは、「どれだけの経験をしてきたか」にかかっています。
新しいことを積極的にやるって、具体的には? 例えば次のような場面を想像してみてください。会議の場で、社長からなにか新しい案件が持ち込まれることがあるでしょう。それはどうも面倒臭そうな、なかなか困難な仕事のようではある。さて、いったいだれが担当するのか。隣のA課長も向かいのB次長も名乗りを挙げるのに躊躇している風情。さあ、ここであなたにチャンスが巡ってきました。こういってください。「私がやります」と。

無謬がいいと思うのは、誤謬である
「自分の手には余る仕事ではないか」「本当に完遂できるのだろうか」などと悩む必要はありません。社長は、もしうまくやれなかったらどうするかは考えていません。あなたの失敗は全く考えていません。もし、失敗したら社長の責任なのです。例えばわが社は先日、ある困難な仕事から撤退をしました。しかし私は、そのプロジェクトに参加した課長の経験や意欲を買って、新たな部署に栄転させ、責任あるポジションに抜擢しました。
安心してください。それに、少なくとも中堅・中小企業においては、まず大部分の案件は、たとえそれがどれほど困難なもののように思えても、実際に始めてしまえば「なんとかなる」ものです。
あなたが新しいことへの取り組みに消極的だとすれば、それは「もしうまくできなかったら、いまの立場が危うくなるのではないか」という恐怖があるからでしょう。お気持ちはよくわかります。私も、現業で大失敗をしでかした管理職を更迭した経験は一度ならずありますから。ですが、長い目でみればそれもあなたにとっては必要な通過儀礼なのです。
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