「どんな人間にも必ずほめるところはある」(写真:convisum/123RF)

管理職はすぐに「ほめ」の手を抜きます

 私は、「管理職は部下をほめよ」といいます。連載でも書くし、セミナーや講演でも強調する。わが社の管理職に対してもいう。「ちゃんと部下をほめなさい」と。そう口を酸っぱくして指示し続けないと、管理職はすぐに「ほめ」の手を抜きます。きっと「俺の部下は使えない奴ばかりで、ほめるところなんてなにもないよ」と思っている。

 心得違いもいいところです。どんな人間にも必ずほめるところはある。それを見つけることができないのは、人を統べる立場にあるものとしてはあまりにも鈍感です。「口に出していわなくても自分の気持ちは部下に伝わる」と考えているのかもしれませんが、これも間違い。「気持ち」という心の領域に属するもの、すなわち目に見えないものは、具体的な形にしなければ決して伝わりません。

 「具体的な形」といえば、わが社には「サンクスカード」という仕組みがあります。これは名刺大のカードに感謝の気持ちを書いて渡すものです。職責や在籍年数を問わず、だれがだれに出してもいい。また書く内容はどんなことでもかまいません。「〇〇さん、お使いに行ってくれてありがとう」でもいいし、「□□くん、あんな難しい仕事を成功させるなんて凄いね!」でもOKです。

 こうしたサンクスカードを定期的に集計すれば、「だれが」「どれだけ」ほめているかが見える化できる。私はこのことをとても大切に思っています。だから管理職が、部下にサンクスカードを送る枚数を決めています。「管理職は半期に最低でも20枚のサンクスカードを出すこと。達成できなければ賞与を減額する」と。実際には、社内で年間7万枚のカードが送られます。わが社の管理職は、半ば「義務として」部下をほめている。

 …と、かくも私がほめることを重要視しているのは理由があります。つまるところ、人はほめられることによって成長するからです。