こうして「ほめ」の習慣がついてきたら、並行して「ほめ」の記録を取ります。いつ、だれに、どのような内容でほめたのかをきちんとメモしておき、部下の間で「ほめ」の偏差が出ないようにします。「先週はAくんを4回、Bくんを3回ほめた」「では今週はBくんを1回余計にほめよう」という具合にです。管理職は、部下全員の能力をまんべんなく底上げする使命を帯びているのです。

部下が成長するのは、「期待を表明されたとき」

 ちょっと昔話をしましょう。

 もう40年くらい前、いま私が社長をしている武蔵野(当時は日本サービス・マーチャンダイザーという名称でしたが)の中間管理職を務めていたときのことです。当時、私には部下が30名いました。私はこう考えました。私一人でがんばるより、部下に少しずつスキルアップしてもらうほうが明らかに効率的だぞ、と。そのためには当然ほめなくてはならないわけですが、しかし30名をまとめてほめても、言葉が拡散するだけで効果は薄い。

 そこで私は一計を案じました。いつ、どの部下を、どういう内容でほめたのかについて詳細な記録を残し、各部下に対する「ほめ」の量が均等になるようにしたのです。また、期ごとの部下の評価もその記録に基づいて具体的に行いました。この効果は絶大で、私の率いる支店は抜きんでた業績を挙げました。私がしたことといえばほめたこと、そしてその記録を取っただけなのに、です。ほどなくして私には、報酬の加増と昇進の御沙汰がありました。

 部下が成長するのは、「ほめ」という形で期待を表明されたときです。そして部下が成長しなければ、あなたの部門の業績はいつまで経っても伸びません。私にいわせれば部下をほめることができない、ほめるところを見つけられない管理職は、管理職失格です。

(構成:諏訪 弘)