自動運転に関する日米の技術格差、「竹槍と航空機」

 「クルマの自動運転はGoogle(グーグル)の独壇場で、万に一つも日本車メーカーの勝ち目などあるわけがない」

 それが多くの人の本音ではないだろうか。世界で初めて公道実験を行ったのもGoogleだし、自動運転の根幹となるAI(人工知能)研究でも圧倒的大差で世界をリードするのはGoogleやFacebook(フェイスブック)など米国のITジャイアントだ。日米の技術格差をAI研究の第1人者である東京大学の松尾豊特任准教授が「竹槍と航空機」とたとえるほどだ。

 2016年12月、Googleの親会社アルファベットは自動運転技術のスピードアップのために開発部門をWaymo(ウェイモ)として分社、独立。そのWaymoが運転手のいない完全自動運転での配車サービスをなんと2018年中に開始すると発表した。

2017年8月、米シリコンバレーを走るWaymoの自動運転車。ベースとなっているクルマは、クライスラーのPacifica(パシフィカ)。(写真:unitysphere/123RF)

 米国でもハンドルもブレーキペダルもない完全自動運転車は安全基準から外れるため、Waymoは自社が開発した自動走行車を規制の対象から外すよう当局に働きかけていた。だが簡単には実現しないとなるや、自社の開発車両の使用を見切り、クライスラーのミニバンにWaymoの自動運転システムを搭載し、一般向けの配車サービスを始めてしまうという。購入台数は数千台規模を計画しているようだ。

 延べ650万キロに及ぶ公道実験、豊富な資金力と人材をバックとした技術的優位に加えて、規制を破壊していく圧倒的なパワー。「竹槍と航空機」の例え通り、日本の自動車メーカーには勝ち目はないと多くの人が考えているのではないだろうか。OSは大半をGoogleが提供し、データもGoogleに押さえられてしまったスマホの二の舞になるイメージだ。

オーナーカーとサービスカー、異なる自動運転の「質」

 だが自動運転の世界はそう単純なものではない。

 私たちは自動運転と聞くと、ついつい自分が運転するクルマ(オーナーカー)をイメージしながら考えてしまうが、GoogleなどIT企業はタクシーやライドシェア、あるいはバスなどの「サービスカー」が大前提になっている。