タバコに年齢制限が設けられた驚きのキッカケ
しかし明治時代にいきなり年齢制限が設けられました。1900年(明治33年)満20歳未満の喫煙を禁じる「未成年者喫煙禁止法」が施行されたのです。
なぜ、この時になって子どもの喫煙を禁じたのでしょうか? その一因こそが、冒頭紹介した「村井兄弟商会」のPRでした。村井兄弟商会は外国から輸入した紙巻たばこのPRのために「おまけ」をつけたのです。
そのおまけは「たばこカード」と呼ばれ、トランプ花札、軍人の写真、西洋の女性画など当時目を引く絵が描かれており、たちまち人気を集めたそうです。そんなカードに子どもたちが注目しないワケありません。
そう。子どもたちは「たばこカード」に夢中になって集め始めたのです。つまり、カードを集めるためにタバコを吸ってしまう子どもたちが増えたのです。大人が慌てて法律で規制したのは当然の流れといえるでしょう。
この「たばこカード」は、京都の「村井兄弟商会」がアメリカで効果を上げていたPR手法を取り入れたものと伝えられています。


ではなぜ、このような斬新なPR手法やデザインを、いち早く導入できたのでしょう。実際に「村井兄弟商会」が社屋を構えていた場所に行ってみました。五条大橋から歩いて10分ほどの場所で、今は福祉施設になっていますが、ひっそりと記念碑が残されています。
この場所に立ってみて、村井兄弟商会が「たばこカード」を導入できた理由がわかりました。明治時代、ここは海外の情報を仕入れやすい場所だったからです。
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