西郷と月照の面影を訪ねて「清閑寺」へ

 私は、西郷隆盛と月照がどんな場所で語り合ったのかを知りたくなり、よく2人が会っていたと伝わる京都・東山の「清閑寺」を訪ねることにしました。

 まず向かったのは、観光客で賑わう清水寺の奥まったところに建つ「子安の塔」。その近くに小さな出入り口があって、「歌の中山」と呼ばれる山道に続いています。その山道を歩くこと約10分。清閑寺は、びっくりするほど静かな山林の奥にありました。

清閑寺に続く山道(写真:殿村美樹、以下同)

 途中の山道には「東山風景林」という看板と京都府警の「女性の一人歩きは危険です」と呼びかける看板が立てられていて、日曜日にも関わらず、すれ違う人はほとんどいません。「もしかして迷ったかも」と少し不安になった頃に「清閑寺」を示す石碑がありました。

清閑寺の石碑

 ホッとして進むと、いきなり荘厳な「六條天皇御陵 高倉天皇御陵」が現れてビックリ!「え~!ここって御陵なの?」と驚きながらふと見上げると、目指す「清閑寺」は御陵の隣の丘にそっと佇んでいました。

御陵
清閑寺入口

 清閑寺は、門に拝観料100円を入れる箱があるだけで人影はまったく見えません。境内に入ると、いきなり京都の街並みが一望できる絶景が開け、自然の風がなんとも心地よく吹き抜けます。そんな中に西郷と月照が密かに会っていた茶室の門が、さらにひっそりと佇んでいました。「こんな風情の中だったら、新しいアイデアやパワーが出るだろうな」とふと思いました。

境内からは京都のまちを一望できる
西郷隆盛と月照が語り合った茶室の門

 というのは、この「清閑寺」は、西郷と月照がたびたび会って一橋慶喜を将軍にする計画を話し合っていたところと伝えられているのです。つまりこの自然豊かでひっそりとした境内は、西郷隆盛が日本を変えるための一歩を踏み出した重要な場所といっても過言ではないでしょう。ちなみに境内の中央にある「要石」は、願いをかけると叶えてくれると伝わる石。西郷も願をかけたのかもしれません。

願いが叶うといわれる要石