沖縄の辺野古移設問題、まずは「日米地位協定」の改定が必要だ

 もう一つの大きな問題は、沖縄の基地移設問題である。沖縄県の面積は、日本全域のたった約0.6%に過ぎないが、国内の米軍基地の7割がある。なぜ、こんな状態になっているのか。

 沖縄県が日本に返還される前、沖縄県に置かれている米軍基地は、国内全体の50%強にすぎなかった。返還後にその比率が上がっているのである。これでは、沖縄県民が納得するわけがない。

 ところが、一つ問題がある。沖縄の玉城デニー県知事も野党も皆、辺野古への基地移設は反対しているが、反対し続けるということは、世界で最も危険と言われる普天間基地からの移設がいつまで経っても実現しないということでもある。

 マスメディアも、「辺野古への移設は暴挙だ」と痛烈に批判している。僕がメディアの幹部たちに「では、どうすればいいのか」と聞いても、どこも対案を持ち合わせていない。

 野党の幹部たちにも「反対ばかりして、普天間基地をこのままにしておいていいのか」と聞くと、「そう言われると、困りますね」と返ってきた。

 僕は、やはり野党もマスメディアも、もう一度、「日米地位協定」の見直しを主張すべきではないかと思う。米軍との地位協定は、日本のみならず、韓国、フィリピン、ドイツなど、様々な国が結んでいる。ところが冷戦終結後、ほとんどの国が地位協定を改定している。日本だけが変えないまま、「対米従属」の立場を維持している。

 日米地位協定は、占領政策の延長にある。これまでのあり方を見直すには、やはりこの協定を改定しなければならないのである。例えば、普天間基地を沖縄県外、あるいは他国に移設するよう米国に要求しようとするならば、地位協定の改定を要請しなければならないのだ。

 ところが、野党もマスメディアもこの点を指摘しない。「辺野古への移設を実現したいならば、県民と話し合いをすべきだ」との主張もあるが、話し合いをしてもあまり意味はない。沖縄県は、反対の姿勢は崩さないからだ。

 こういった背景を踏まえた上で、野党もマスメディアも、辺野古への移設に反対するならばどうすればいいのかという対案を考えなければならない。

 そもそも、今の野党に力がない原因は、「対案がない」ということである。例えば、第二次安倍政権になってから5回の選挙が行われたが、すべて自民党が勝利している。僕はその度に、野党の幹部たちに「国民はアベノミクスの批判など聞きたくはない。あなた方が政権を取ったら、どういった経済政策を行うのか、対案を出さなければならない」と言ったが、どの党からも対案は出なかった。

 国民はアベノミクスに満足しているわけではなく、野党から対案が出ないから我慢しているのである。ここが、日本の政治における最も大きな問題の一つだ。

 では、なぜ対案が出ないのか。日本人の多くが政治に関心がないからである。今、フランスや英国で大きなデモが起こっている。韓国でも、かつて「朴槿恵退陣」を訴える170万人規模のデモが起こったことがある。もし、他国で森友・加計問題が起きたら、大規模なデモが起こるだろう。

 つまり、日本の国民はそれほど政治に関心を持っていないということである。言い方を変えれば、だからこそ、安倍政権は安泰なのである。テレビでも、政治に関する話題は極めて少ない。なぜかといえば、政治問題を取り上げると視聴率が落ちるからである。ここも大きな問題だと思う。

次ページ 日米地位協定の改定は、北方領土返還の実現にも必須