もう一つ理由が考えられる。12日、米国南部で白人至上主義者や極右支持者と反対派が衝突する動きがあった。公園内に設置されている南軍司令官リー将軍の像の撤去に対し、白人至上主義者が抗議をしたのがきっかけだった。

 これについてトランプ氏は、ツイッターで次のように発言した。

「美しい記念碑や銅像の撤去でわれわれの偉大な国家の歴史と文化が散り散りになるのを見るのは悲しい。歴史を変えることはできないが、そこから学ぶことはできる」。

 つまり、白人至上主義者を擁護するような発言をしたのである。これについて、米国内ではトランプ氏への批判が相次いでいる。

シナリオを書いたのはバノン氏ではないか

 2016年の米大統領選挙でトランプ氏を支持した層は、白人右派だ。言ってみれば白人至上主義者だった。だから先日の事件に対し、トランプ氏はこのような発言をしたのである。

 さらには、白人至上主義者たちの多くは、イスラエル同調者でもある。彼らのトランプ氏への支持を強めるためにも、トランプ氏は「エルサレムはイスラエルの首都と認める」といった発言をしたのではないかと思う。

 ただし、これはトランプ氏だけのアイデアではない。僕は、このシナリオを描いたのはバノン前首席戦略官・上級顧問ではないかと思っている。彼は既に首席戦略官を辞任しているが、いまだにトランプ氏との距離が近く、強い影響力があるのだ。

 トランプ氏のエルサレム首都認定によって、サウジアラビア、カタール、ヨルダン、エジプトなどの中東の国々が、すべて「反トランプ」を掲げている。欧州各国および中国やロシアも米国の決定に批判や懸念を表明した。8日には国連安保理で緊急会合が開かれ、欧州各国がトランプ氏に中東和平実現へ向けて具体的な提案をするように求めた。

 トランプ氏は、ますます世界各国から孤立を深めてしまったのである。

 ここで、新たな二つの見方が出てきた。一つは、米国が世界から孤立し、さらにロシアゲート疑惑による危機が迫ってくれば、トランプ氏は北朝鮮に武力行使をするエネルギーがなくなるのではないか、というものだ。

 実際、北朝鮮は、米国にとっての大きな脅威ではない。北朝鮮が米国に戦争を仕掛けることなどありえないからだ。米国にとって北朝鮮問題は、ますます優先順位が下がっていく可能性がある。

 その一方で、トランプ氏のことだから、半ばやけっぱちで武力行使に踏み切る可能性があるという憶測もある。米国の情報通たちは、「トランプ氏は思いついたことをやっているだけであって、戦略は何もないのではないか」と口を揃える。危機が迫れば、武力行使もやりかねないということだ。

 ちなみに12日にティラーソン国務長官は前提条件なしで北朝鮮との対話に応じる可能性に言及したが、翌13日には米国家安全保障会議(NSC)の報道官が「明らかに今は対話の時ではない」と発言するなど、トランプ政権の足並みは乱れている。