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安倍首相の下、入管法改正が成立(写真:AP/アフロ)

 12月8日、外国人労働者の受け入れ拡大を目的とした「出入国管理法改正案」が参議院本会議で強行採決された。

 国会での審議を見ていると、安倍晋三首相は上がってきた文書を読み上げているだけだった。彼はこの法案について、具体的に関与していない。参議院本会議でも、野党からの質問に対し、同じ内容の文書を読み上げているだけだった。

 安倍首相は、やはり外交で手一杯なのだろう。米国のトランプ大統領、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らにどう臨んでいくかなどで頭が一杯なのである。特に、米中貿易戦争は激しく動いている。12月5日には、中国で通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のCFOである孟晩舟氏が米国の求めによりカナダで逮捕された。

 外交問題で精一杯となっている安倍首相は、内政まで考えるゆとりがない。しかし、国内は国内で問題山積みである。

 入管法改正に話を戻すと、山下貴司法相は野党から質問されると「これから検討します」と繰り返すばかりだった。つまり、この法案はほとんど中身が詰まっていないということである。

 例えば、外国人労働者の受け入れを拡大するために、政府は新たに「特定技能1号」「特定技能2号」などの残留資格をつくった。

 建設業、自動車整備業、介護、農業、宿泊業などの14業種における単純労働を含めた就労を認める「特定技能1号」は、最長で5年間の滞在が認められる。「特定技能2号」は、建設業、船舶業、自動車整備業、航空業、宿泊業の5業種において熟練した技能を要する資格で、申請すれば在留期間の更新や家族の帯同も可能になる。

 しかし、1号の資格を得るには具体的にどのような技能が必要なのか。資格を得られた場合、どの程度の待遇となるのか。給料はいくらになるのか。社会保障はどうなるのか。1号から2号に上がるためには、どのような条件を満たせばいいのか。2号の資格を得た場合、働けなくなったらどうなるのか。

 このあたりの大事な部分が、何も決まっていないのである。