安倍首相は外交で手一杯、内政に取り組む余裕がない

 今回のG20では、トランプ大統領も習近平氏もプーチン大統領も、安倍首相との交渉が注目された。まるで安倍首相が中心にいるかのような構図だった。

 その理由は、各国の中で日本が経済的にも政治的にも最も安定しているからである。しかも、安倍政権は長期政権である。こんな事態は初めてだと思う。

 問題は、G20で日本は中心的存在となったが、安倍首相は、米中ロとの外交で手一杯だということだ。国内の問題に取り組む余裕が全くない。

 例えば、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法(入管法)改正の問題も、彼がリーダーシップをとっているわけではなく、下から上がってきた話を読み上げているだけである。消費増税の問題、憲法改正の問題も同様だ。だから、国会で野党の質問に対してまともに答えられていない。同じ内容を繰り返し発言するばかりだ。当然、野党は怒りを感じている。

 特に、入管法改正の問題は、非常に複雑で難しい話であるにも関わらず、たった17時間の審議で衆議院で強行採決してしまった。これははとんでもないことだ。

 憲法改正も、自民党の憲法改正推進本部長である下村博文氏は、野党に対し「職場放棄」と批判して問題となった。僕は、野党との協議はうまくいかないと思う。消費増税も、本当に増税を行うのか、減税をするのか。複雑すぎて混乱をきたしている。

 安倍首相は、外交で精一杯であり、内政に本格的に取り組む状況にない。この大きな矛盾が、今、非常に露骨に現れている。

 次の焦点は、来年7月に控える参議院選挙である。こうした状況からすると野党が一本化できれば、野党は勝利する可能性がある。1人区は一本化できるだろうが、2人区が難しい。そして、これが一本化できれば、野党勝利は不可能ではないだろう。自民党内も国民も、安倍内閣に対する不満が強まっているからこそ、野党に勝機がある。

 参議院選挙で自民党が危ないという見通しになれば、政府は消費増税の再延期を図る可能性がある。安倍首相が内政に注力できない状況を国民がどう評価するか。ここが一番大きなポイントだろう。

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