マスコミの対応も不十分ではないか。主要なメディアがこの事件について報じる時、「粉飾決算」という言葉を使わず、「不適切会計」と表現していた。

 僕は、あるテレビ局の番組で、「東芝のやったことは粉飾決算だ」と発言したら、上の人から「ちょっと待ってくれ」とストップがかかったことがある。新聞もテレビも、東芝の事件については手ぬるいと感じる。

「悪い」仲間意識が、日本中に蔓延している

 こういう馴れ合い体質、いわば「悪い」仲間意識が、日本中に蔓延しているのではないかと思う。

 日産自動車も同様だ。今年10月、国内向けに販売する新車について審査資格のない従業員が検査をしていたことが明らかになった。しかも、それが10年以上続いていたという。

 僕は、カルロス・ゴーン氏が日産のトップとして日本にやってきた1999年以降、3度取材をしたことがある。

 ゴーン氏が日産に入社した時、同社の業績は非常に悪化していた。彼は当時の専務に「なぜ日産は業績が悪いのか」と尋ねたという。すると専務は、「日本の景気が悪いからだ」と答えたそうだ。「トヨタ自動車やホンダは好調じゃないか」とゴーン氏が切り返すと、専務は何も言えなかった。

 当時の日産は、自動車の販売台数を伸ばすためにおかしなことをしていた。販売数を伸ばすために最も簡単な方法は、値段を下げることだ。つまり、ダンピングである。もう一つ、仕入れ先から高値で部品を調達していた。

 売る時はダンピング、仕入れでは高値で買う。こういった取引状況を、当時の日産の幹部は全く認識していなかったそうだ。社内の構造が縦割りだったから、情報が内部で共有されず、発覚が困難だったのだ。