ゴーン氏とは3回ほど直接話したことがある

 問題は、日産の内部に、ゴーン氏に代わる経営者がいるのかどうか。非常に難しいだろう。

 僕は、ゴーン氏と3回ほど直接会って話をしたことがある。

 ゴーン氏が日産の最高執行責任者(COO)として日産に入社したのは、1999年だった。当時、日産は業績不振に陥っていた。僕が彼と最初に会ったのは、この時である。

 インタビューで、彼は、「日産の役員たちに、なぜこの会社は経営不振なのかと問うと、彼らは『市況が悪い』と答えた。同じ条件であるにもかかわらず、なぜトヨタ自動車やホンダは好調なのかと再び質問すると、彼らは答えられなかった。この時、日産の経営不振の原因は経営層であると判断した。日産を復活させるためには、経営陣を一新しなければならない」と話した。

 さらに、彼は「日産は非常に風通しが悪い、閉鎖的な会社だ」と続けた。

 経営層が社内に向けて販売台数を増やそうと指示すると、販売部門は車を売るためにダンピング販売する。ところが、同社の構造は縦割りで閉鎖的であるため、販売部門がダンピング販売していることは経営層には伝わらなかった。

 一方で、部品などを仕入れる仕入部門は、トヨタやホンダに比べて2割高く購入していたという。2割高く仕入れて、リベートを取っていたのである。ダンピングして販売し、高い価格で部品を仕入れたら、利ざやは減り、経営不振になるのは当然の話だ。

 繰り返すが、日産は当時、風通しの悪い構造だったため、そういった実態は社員のほとんどが把握していなかった。だから、社員たちに危機感もない。そこでゴーン氏は、とにかくオープンで透明度の高い会社に作り変えないとダメだと主張していたのである。

 そして思い切ったリストラや不採算の工場の閉鎖などを実行し、彼はわずか2年で日産をV字回復に導いた。

 次に僕がゴーン氏と会ったのは、日産が回復してから3年後である。彼は非常に自信満々で「次は、トヨタ自動車を超える」と話していた。

 僕は、ゴーン氏を経営者として非常に評価していたから、今回の事態についてはショックを受けている。

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