日本とフランスで異なる見方

 日産が東京地検に告訴したのは、今年に入ってからである。なぜ、このタイミングで告訴に踏み切ったのか。

 英フィナンシャルタイムズの報道によると、フランス政府と同国のマクロン大統領の意向で、ゴーン氏はルノー、日産、三菱自動車の3社連合のリーダーとなった。しかもルノーが完全に主導権を持つという形である。

 これに対し、日産はルノーの支配から逃れるために、ゴーン氏を失脚させるしかないと判断したという見方が出ている。僕はその通りだとみている。

 ゴーン氏の告訴などは、日産だけで決断できることではない。その後の展開は地検特捜部も決められることではない。

 フランス政府とゴーン氏が組み主導権を完全にルノーに握らせた形に対し、日産と日本政府が反発したという構図だ。

 日本の各紙は、いかにゴーン氏が不正を働いているかという点ばかり報じている。日産や三菱自動車がゴーン氏を失脚させたわけだが、ルノーとフランス政府はゴーン氏会長留任を決め、体制の継続を主張している。

 フランスから見れば、今回の一件は「日産のクーデター」と捉えている。ゴーン氏の逮捕は、フランス政府にとっては寝耳に水だったようだ。ここから、日本政府はフランス政府との間で、どのように調整するかが大きな課題となっている。

次ページ ゴーン氏とは3回ほど直接話したことがある