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金融商取引法違反の疑いで逮捕された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏(写真:Sipa USA/amanaimages)

 経営不振に陥っていた日産自動車を建て直し、約20年もの間、経営トップを務めたカルロス・ゴーン前会長が逮捕された。これについて日本の各紙は、「いかにゴーン氏が不正を働いたか」という点をクローズアップして報じている。

 今回の罪名は、金融商取引法違反とされている。側近で前代表取締役のグレッグ・ケリー氏とともに、2010~14年度の自身の役員報酬を毎年10億円、合計で約50億円を有価証券報告書に記載しなかったという容疑である。さらには、ブラジルやレバノン、パリ、アムステルダムの高級住宅を会社に購入させ家族と利用するといった、「会社の私物化」の疑いもあるという。

 僕は真相はこういった報道とは異なるものではないかとみている。

 まず、ゴーン氏が役員報酬を半分の金額しか記載しなかったという疑惑についてだ。09年度の決算以降、1億円以上の報酬を受け取る役員については、氏名と金額を開示しなければならないという制度改正が行われた。

 ゴーン氏は、年収総額を約20億円と開示すると批判されると懸念し、年収総額を20億円としたうえで、その年度に受け取る10億円と、退任後に受け取る10億円とを分けて記載していた。

 しかし、各年度分について、退任後に受け取る10億円はまだ受け取っていない金額であり、ゴーン氏は法令違反の意識がなかったと主張しているという。

 さらに言えば、退職後に受け取ることになっているということを、社内の幹部らが知らないということがあるのだろうか。

 そもそも現在の日産の社長である西川廣人氏を抜擢したのは、ゴーン氏である。西川氏は、ゴーン氏の右腕だった人物だ。もっと言えば、彼はゴーン氏のイエスマンである。