安倍首相は今国会で「出入国管理法改正案」の成立を目指している(写真=代表撮影/ロイター/アフロ)

 今、外国人労働者の受け入れ拡大を目指す「出入国管理法改正案」についての議論が活発化している。今国会の最重要法案と言って間違いないだろう。

 これについて各新聞社は、法案成立は時期尚早だと異を唱えている。例えば朝日新聞は11月15日付朝刊の社説で、政府案の根拠は不明瞭だ、と指摘している。外国人労働者の受け入れ人数や対象業種について、政府は「14業種で初年度最大4万8000人、5年間で35万人」との試算を出したが、この根拠となるデータにどれだけ信憑性があるのか疑問だというのである。

 毎日新聞は11月2日付朝刊の社説で、「就労外国人 日本の転機 ごまかしから卒業しよう」と主張した。現在、日本で働く外国人は128万人に上る。そのうち、留学生のアルバイトなどの「資格外活動」は約30万人。途上国の若者への技術移転を目的とする「技能実習生」は約26万人を占めるという。つまり、60万人近くの外国人労働者が、不当な低賃金労働、長時間労働を強いられている可能性がある、ということである。

 一方で、日本は深刻な人手不足に陥っている。政府の試算では、5年後には145万人の人手が足りなくなるという。政府はこれを外国人労働者の受け入れ増加によって対応しようとしている。

 これに対し野党は、「政府は入管法改正案を来年4月から施行したいと考えているが、内容が全くない」と指摘している。具体的な内容が何もなく、議論ができないとの批判が出ているのである。マスコミの主張もほぼ同じだ。

人手不足の先に、「人余り」の時代が来るかもしれない

 なぜ、政府は具体案を出さないのか。

 実は、ここに非常に難しい問題が横たわっている。繰り返すが、政府は「5年後には145万人の人手が不足する」と発表している。しかし実はその一方で、AI(人工知能)等の発達により、7年後には人が余る可能性もあるのだ。

 英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授と、カール・ベネディクト・フレイ博士が、野村総合研究所との共同研究で「10~20年後には、日本で働く人の約49%の仕事がAIに代替される」という結果を15年に発表した。

 さらに昨年あたりから「シンギュラリティー(技術的特異点)」という言葉が注目されている。これはAIが人間の知能を超えることを意味する。早ければ45年、遅くても50年にはAIが人間の知能を抜き、その頃には人類の仕事の90%が奪われてしまうという見立てもある。多くのAIの専門家たちも、これを認めている。