本コラムでは何度も述べているが、もし、米国が北朝鮮に武力行使をすれば、北朝鮮はその報復として、韓国や日本に攻撃してくるだろう。その場合は、両国に相当な被害が出る。

 マティス国防長官や、ティラーソン氏はそれを危惧し、圧力をかけてトップ会談に持ち込む路線を主張してきたが、トランプ氏は「トップ会談では北朝鮮に核廃棄までは持ち込めない。せいぜい核凍結だろう」と強く反対した。彼は、あくまでも核廃棄を望んでいるのだ。

 さらにトランプ氏は、オバマ氏を含める過去20年間の北朝鮮戦略は失敗だったと強調している。「これまでの大統領と自分は違う」と米国内にアピールしたいという思惑もある。

 一方で、日本が北朝鮮に対する圧力を強化すると言っても、実際にできることは、あまりない。北朝鮮問題は、トランプ氏の動向にかかっているというわけだ。

最大の焦点は米中首脳会談

 今回のアジア歴訪での最大の注目はやはり、習近平氏との米中首脳会談だ。

 具体的には、北朝鮮の貿易のうち、約9割が中国との取引だ。これを全部ストップすれば、北朝鮮の経済は成り立たない。特に、中国が原油の輸出を止めれば、北朝鮮の軍は機能しなくなるうえ、一般国民の生活が行き詰まる。

 米中首脳会談の結果、トランプ氏は中国に30兆円近くもの買い物をさせることに成功した。だが、共同記者会見を見る限り、肝心の北朝鮮問題では何ら具体的な内容が示されなかった。だからこの後どうなるかは、正直なところよく分からない。だが、米中が決裂したわけではない。会見でトランプ氏が不機嫌ではなかったことからも、何らかの合意はあったと見るべきだろう。

 中国としては、もし、北朝鮮への原油の輸出をストップすれば、北朝鮮が暴発する危険性があると見ている。下手をすれば、北朝鮮は中国に向けてミサイルを発射する可能性すらある。

 一方で、北朝鮮も核廃棄に応じる気配はない。

 北朝鮮は、体制を維持するために、外国からの攻撃の「抑止力」として核を開発していると考えられていた。僕もそう思っていた。

 ところが、それ以外の可能性もあるという意見がある。2003年から2007年にかけて、米国、日本、中国、韓国、ロシア、そして北朝鮮の間で6カ国協議が行われた。これは、北朝鮮に核を開発させないことを前提に開かれたものだった。