自民党も国民も、沖縄県の問題に関心を持つべきだ

 しかし、かつては沖縄の米軍基地問題について、地元の理解を得るために奔走した人物がいた。小渕恵三政権時代、当時の官房長官だった野中広務氏、岡本行夫氏らを沖縄県に派遣した。彼らは同県の全ての島を回り、地元と信頼を築いたのである。

 野中氏は「沖縄県は、日本全体の犠牲になっている」と主張した。太平洋戦争の末期、沖縄県では多大な犠牲者が出た。しかも、沖縄県は戦後になっても長い間、米国の占領下に置かれていた。沖縄県が日本に返還されたのは、なんと1972年のことである。それまでは実に不自由な生活を強いられていた。

 ところが、占領下から解放された後も、沖縄県には多くの米軍基地は残ったままだった。当時、野中氏らは、これについて沖縄県に全面謝罪をした。こうしてようやく沖縄県民が、辺野古移設を受け入れ、小渕氏は感謝の意を込めて、沖縄で主要国首脳会議(サミット)を開催することに決めたのである。

 当時、僕は小渕氏と面会した際、小渕さんは非常にお疲れのようだった。「何時間眠っているのか。5時間は寝ているか」と尋ねると、彼は「5時間寝るのは、夢のような話だ」と答えた。「それはよくないな」と僕は言い、その1週間後に、小渕氏は倒れた。まさに、彼は命を懸けて沖縄県との信頼を築いたのである。

 こういった経緯を振り返ると、現在の自民党は、沖縄県に対する意識は薄れているようだ。安倍氏は傲慢になっていると言わざるを得ない。沖縄県民が怒るのも当然である。

 もっと大きな問題がある。それは、国民全体が沖縄県の問題に対して関心が薄いことである。テレビで沖縄県の問題を報道しても、視聴率が上がらない。本土に住む国民も、もっと沖縄県の問題を深刻に捉えるべきである。

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