ブラジルでも10月28日の大統領選挙で、極右である社会自由党のジャイル・ボルソナロ下院議員が大差をつけて勝利した。ブラジルには3つの問題があり、1つは不況、2つ目は前政権による汚職、3つ目が移民である。これに対し、ボルソナロ氏は「自国第一主義」を掲げて支持された。
このように、移民・難民の問題は世界中に波及している。日本も移民の問題には神経質になっている。先にも触れたように、与野党ともに移民政策には反対である。だからこそ、安倍首相は「移民政策ではない」と言ったわけだ。
明確に決まっていないことが多い
政府は今、2019年4月に向けて、外国人労働者の新たな在留資格をつくろうとしている。それはいくつかのカテゴリに分別される。
一つは、「技能実習」だ。最長五年間の在留期間が認められるが、家族の帯同や優遇措置は認められない。2つ目の「特定技能(仮称)」は、技能実習生が資格を得た場合、さらに最長5年間、つまり通算10年間の在留期間が認められる。さらに、高度専門職となれば、在留期間の上限はなく、家族の帯同や優遇措置も認められるようになる。
しかし、これらのカテゴリの境目は非常にあいまいだ。外国人労働者はどうすればステップアップできるのか、明確に決まっていないのである。
なぜ、こんなにあいまいなのかと言えば、具体化するのが困難だからである。具体化すればするほど、反対意見が強まってしまう。自民党内部でも、外国人労働者の問題について反対が強い。
しかも、これを19年4月までに決めようとしている。こんなことは可能なのだろうか。僕は無理だと思う。
外国人労働者の対応は、非常に難しい問題をはらんでいる。今秋の臨時国会で決着がつくのかどうか。僕は難しいと考えているが、審議の動向を見守っている。
大きな問題として、沖縄の米軍普天間基地の辺野古移設問題にも触れておきたい。先日、石井啓一国交相が沖縄県の埋め立て承認の撤回の効力を一時的に停止する決定をし、11月1日に沖縄防衛局が埋め立て予定地の工事を再開した。
こうして沖縄県と政府との間の溝は、ますます深まっている。
沖縄県の面積は、日本全域の約0.6%に過ぎないが、国内の米軍基地の70%超がある。沖縄県民としては、当然だが米軍基地に対して反対の声が強い。
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