対話と武力行使、2つに割れるトランプ政権

 もう一つの焦点は、北朝鮮問題だ。一体、トランプ氏は日本に何を要求するのだろうか。

 米国政府では、北朝鮮問題の対応について二つの見方がある、一つは、「米朝のトップ会談で解決すべきだ」という意見だ。マティス国防長官とティラーソン国務長官は、この選択肢を支持している。

 米国が下手に武力行使に踏み切れば、北朝鮮がどんな報復措置を取るか分からない。その時、韓国や日本に多大な被害が出る可能性がある。

 それを避けるために、マティス氏やティラーソン氏は、トップ会談での解決を考えている。

 9月末、ティラーソン氏が中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。そこで米朝対話について、「私たちは厳密に調査している。期待してほしい。(北朝鮮に)話し合いたいか、と聞いている。平壌とは複数の外交ルートがあり、暗い状況ではない」などと発言したと報じられている。

 ところが、トランプ大統領はその発言に大激怒した。「冗談じゃない。対話などをやれば、北朝鮮に核開発の時間を稼がせるだけだ」ということだ。

 トランプ氏とティラーソン氏の関係は、悪化しているのではないか。米国内では、近々国務長官を解任するのではないかという憶測が広がっている。

 それに加え、ティラーソン氏がトランプ氏を「ばか」と呼んだことも話題になった。ティラーソン氏がその報道を否定していないところを見ると、両者の溝が深まっている可能性は高い。

 だから、トランプ氏は今回のアジア歴訪にティラーソン氏を同行させないのではないかとの見方もある。今のところ、外務省が得ている情報では、ティラーソン氏はトランプ氏と一緒に訪日するという。ただ、外務省関係者は「トランプ氏のことだから、いつどうなるか分からない」と述べている。

 なぜ、トランプ氏は北朝鮮との対話に反対しているのだろうか。

 トップ会談になると、結局、米国が北朝鮮に対して「核廃棄」を迫れないからだろう。日本の専門家の間でも、仮に米朝トップ会談に漕ぎ着けたとしても、最終的には核廃棄ではなく、「核凍結」にとどまるのではないかという意見が多い。

 なぜ、北朝鮮が核兵器を放棄しないのかといえば、かつてのイラクやリビアの惨状を見て、核兵器は強力な抑止力となることをよく分かっているからだ。核兵器を持てば、米国は攻撃をしてこない。核兵器を廃棄すれば、すぐにやられてしまう。だからトップ会談では、北朝鮮は核廃棄の要求を絶対にのまないだろう。

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