トランプ大統領は訪日した後、中国で習近平国家主席と会談する予定だ(写真:AFP/アフロ)

 11月5日にトランプ米大統領が来日する。安倍晋三首相と首脳会談を行うほか、拉致被害者の横田めぐみさんの父・滋さんと母・早紀江さんと面会することも予定に組まれている。

 これについて、拉致被害者の家族たちは非常に喜んでいるという。ただ、トランプ氏の面会は一種のサービスに過ぎない。その見返りに、トランプ氏は日本に非常に厳しいことを要求してくるのではないかと思う。

 一つは、経済だ。個別分野では、まず自動車だろう。麻生太郎財務相が10月中旬に訪米し、ペンス副大統領とロス商務長官と会談をした時、麻生氏は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱する意向を示していたトランプ政権に対して「TPP離脱を見直したらどうか」と伝えようとした。

 そもそも日本がTPPに加盟したのは、オバマ前大統領から「日本もぜひ参加するように」と強い要請があったからだ。TPPは、米国にとってもメリットが多分にあるはずである。離脱は撤回したらどうか。麻生氏はそのように訴えようとしていた。

 ところが、ペンス副大統領とロス商務長官は交渉の余地を与えず、非常に厳しいことを突きつけてきた。「年間約700億ドルある対日貿易赤字を限りなくゼロにしたい。そのために、日本はもっと米国産の車を輸入しろ」「日本は非関税障壁が非常に高い。安全基準や環境規制などをもっと緩めるべきだ」などと要求したようだ。

 しかし、日本は米国産の車に対して特に非関税障壁を高くしているわけではない。ドイツ車などはどんどん輸入されている。つまり、問題は非関税障壁ではなく、米国の自動車メーカーが日本人のニーズに合う車を作っていないことだと言える。

 次に、米国産牛肉の輸入についても触れるだろう。具体的には、日本が8月に発動した米国産冷凍牛肉の緊急輸入制限(セーフガード)の見直しだ。

 さらには、薬価制度の見直しも迫ってくるといわれている。例えば、米国の製薬メーカーが日本に新薬を導入しやすくすることなどを狙っている。

 その上で、米国は日米自由貿易協定(FTA)の交渉に進もうとしているのだろう。今回の訪日では、日米FTAについて進展はないとの見方が強まっているが、いずれは厳しい条件を提示してくることは間違いない。

 日本側としては、日米FTAの締結には反対が強い。交渉で米国のペースに巻き込まれる可能性が高いからだ。特に、農水省は断固反対の立場である。