憲法改正論議は難航する

 今後は、憲法改正の議論が加速するだろう。安倍首相も、選挙後に「(憲法改正について)与党・野党に関わらず幅広い合意形成をするよう努力を重ねていかねばならない」と発言している。

 しかし、実現は相当難しいと思う。そもそも、公明党が改憲について非常に消極的だ。

 2つ目に、希望の党が分裂する可能性がある。無所属から立候補して当選した22人の一部が、希望の党を離党する議員と新しい会派をつくる可能性がある。

 3つ目は、国民の多くが憲法9条改正に反対であり、仮に改憲の発議をしても、国民投票で反対多数になる可能性が高い。

 9条の改正について世論調査を行ったところ、10月17、18日の朝日新聞では「賛成」が37%、「反対」が40%。読売新聞の調査では「賛成」が35%、「反対」が42%だった。

 強引に発議をすれば、国民から強い反発が起きるのは必至だ。その点は、安倍首相もよく分かっていると思う。

 選挙直後の総裁会見でも、安倍首相は圧勝したにも関わらず、ほとんど笑顔を見せなかった。それは、国民の多くが安倍自民を支持しているわけではないことを重く受け止めているからだ。今後の改憲論議は、かなり慎重に進めていくのではないかと思う。

 そもそも安倍首相は、憲法改正について大変な誤解をしている。「憲法学者の7割近くが自衛隊を憲法違反だと言っているから、9条で自衛隊を明記したい」と言っているが、これは大誤解である。

 憲法学者たちが「自衛隊は憲法違反だ」と主張する目的は、憲法改正ではない。憲法第9条第2項では、「国の交戦権は、これを認めない」と規定している。ところが、日本の軍事予算は世界第8位の規模であり、今の自衛隊の軍事力は世界有数のレベルだ。15年9月には安保関連法案が成立し、集団的自衛権の行使も可能になった。

 これは明らかに専守防衛の枠から逸脱している。だから、憲法学者たちは「憲法違反だ」と言っているわけだ。彼らは改憲ではなく、「軍縮をしろ」と主張しているのだ。

次の注目点は、トランプ米大統領の訪問だ

 国民の多くは、米国が北朝鮮に武力行使をすることを最も懸念している。それが現実となれば、日本や韓国にも大きな被害が及ぶからだ。

 米国と北朝鮮の問題は、やはりトップ会談でけりを付けるべきであって、武力行使で解決を図る問題ではない。

 今後は日本の政界の動きよりも、トランプ米大統領の動向が注目されるだろう。トランプ氏は11月5日から日本を訪れ、安倍首相と会談し、北朝鮮の拉致被害者家族や自衛隊・米軍関係者とも面会する予定だ。

 トランプ氏は、日本に何を言いに来るのか。詳しくは回を改めるが、貿易では厳しい要求を突きつけてくる可能性が高い。

 僕が注視しているのは、トランプ氏が訪日する際、ティラーソン国務長官を同行させるかという点である。今、ティラーソン氏は、トランプ氏との意見の対立を理由に辞任するのではないかと言われている。今のところ、辞任について否定しているが、もし、ティラーソン氏とトランプ氏が一緒に日本に来なければ、彼は辞める可能性が高い。

 この辺も含めて、トランプ大統領の来日を注目している。