日本の製造業の強みは「高品質」だったはずである。品質の高さが世界で評価されてきたからこそ、成長し続けることができた。しかし、不正とはその信頼を損ねる行為である。日本の製造業にとって、不正は命取りであるはずだ。

 いつからこんな不正が起こり始めたのだろうか。きっかけは、1990年代のバブル経済の崩壊がやはり大きいのではないかと僕は考えている。

 バブルが弾けると、日本企業は総じて収益が大幅に悪化した。儲からなくなると、製品・商品の価格を下げざるを得なくなる。しかし、品質は下げることができない。ここに矛盾が生じる。価格を下げた上に、品質を向上させるのは、極めて難しい話である。そこで、企業が生き延びるためには、不正をやらざるを得なくなったのだろう。

「日本は、空気の国だ」

 問題は、それに対し、誰も「NO」と言えないことである。評論家の山本七平氏が、生前、僕にこんなことを話したことがある。「日本は、空気の国だ。日本で一番悪いのは、空気を破ることである。空気を破ってしまったら、生きていけない。だから、空気を読み、合わせることを強制されているのである」。僕もその通りだと思う。

 これは、企業だけではない。政界も同様である。自民党の議員たちも空気を破れず、安倍晋三首相に「NO」と言えない。

 森友・加計問題では、国民の70%以上が「政府の対応に問題がある」と捉えているにもかかわらず、自民党内からは反発の声がほとんど聞こえてこない。もちろん、問題があると分かっている議員はたくさんいるが、それを安倍首相に指摘できる者は誰もいないのである。

 なぜかといえば、安倍首相に反発すると、機嫌を損ね、自分自身の進退に影響するのを恐れているのである。

 まさに、企業も、政界も、空気を読みすぎて腐敗しているのである。