KYBが10月19日、免震・制振装置で検査データ改ざん 建物名を公表(写真:ロイター/アフロ)

 近年、企業の不正問題が相次いでいる。

 最近でも、油圧機器メーカーKYBと子会社による免震・制振装置の検査データが改ざんされていた問題が明るみに出た。耐震のための装置であるはずが、国の認定などに適合しない免震装置を出荷していたのである。

 国の基準、あるいは顧客との契約に適合しない疑いのある装置は、合計で987物件に上る。しかも、これらをすべて交換するとしても、2年以上の時間を要するという。非常に大きな問題である。

 不正を行う企業を振り返ると、東芝、三菱マテリアル、東レ、日産自動車、神戸製鋼など、枚挙に暇がない。なぜ、こんなに日本には不正が多いのか。

 中でも最も注目されたものは、2017年に発覚した東芝の決算問題である。これが悪質な問題であることは内部の社員、役員であればすぐに分かるだろう。にも関わらず、逮捕者が一人も出ていない。警察、検察にも大いに問題がある。

 全てが「馴れ合い」となっているのである。不正が次々に起こる原因の一つには、こういった背景もあると思う。

「ネガティブルール」が日本企業を停滞させた

 なぜ、企業は、こんなにも「馴れ合い」が生じ、次々に問題が起こるのか。伊藤忠商事元会長の丹羽宇一郎氏が、僕にこんなことを話してくれたことがある。

 丹羽氏が社長に就任した時、伊藤忠商事は1999年度決算において約4000億円の特別損失を計上し、大胆な経営革新を行ったのである。この時、丹羽氏は給料なし。会社の車は使わず、電車で通勤していたという。

 その丹羽氏に、僕は「なぜ日本企業は、こんなに不正を起こすのか」と尋ねた。すると、丹羽氏は「企業はポジティブルールで動いているから」と答えた。

 これはどういうことか。軍隊、自衛隊を見ればわかるという。例えば、英国やフランスの軍隊は、「ネガティブルール」を採用している。「やってはいけない」ということだけを定め、それさえ守れば自由に動くことが許されているのである。

 一方、日本の自衛隊は「ポジティブルール」で動いている。「やっていいこと」を定め、それ以外は絶対にやってはいけないのである。

 このスタイルが、自衛隊のみならず、日本企業にも言えることだと丹羽氏は指摘した。経営者からは「やっていいこと」だけを指示される。そこから外れることをやってしまうと、すぐに左遷させられてしまう。だからこそ、不正が相次ぐのだと僕は考えている。