今、日本の防衛費は、国内総生産(GDP)比1%の水準を維持している。約5兆円だ。米国はGDP比3.3%、北大西洋条約機構(NATO)の主要国は、1.2%~2.3%だ。

 もし、日本が自立して自衛隊で自国を守ろうとするならば、少なくとも15兆円は必要だと言われている。年々借金が膨らむ日本で、これだけの費用を毎年捻出することはできるのだろうか。

 世界中で、自国で自国を守れるのは、米国、中国、ロシアの3カ国だけだと言われている。欧州各国は、それができないからNATOを結成した。

 日本も、アジアでNATOのような軍事同盟ができればいいのだが、アジア諸国の経済レベル、文化レベルに大きな差があることを考えると、実現は難しいだろう。

 対米従属論と自立論は、非常に難しい問題だ。答えは簡単に出ない。だからこそ、「何のための改憲なのか」「日本を一体どういう国にしたいのか」を考え、議論を深めることが非常に大事なのだ。

安倍首相は「憲法改正をした総理大臣」という名を残したい

 選挙の後、憲法改正の議論が進むことは間違いないが、そう簡単にはいかないだろう。国民投票で反対票が上回る可能性が高いからだ。

 そもそも安倍首相は、なぜ憲法改正をしたいのか。

 僕は昨年9月、安倍首相と会った時に、こんなことを言われた。「大きな声では言えないが、実は、憲法改正をする必要がなくなった」。何故かと聞くと、「(安全保障関連法が施行されて)集団的自衛権を行使できるようになったので、米国は何も言ってこなくなったからだ」と言った。

 対米的には、改憲の必要性はなくなった。つまり、今、安倍首相が憲法改正をする理由としては、「憲法改正をした総理大臣」という名を残したいだけなのだろう。

 僕は、憲法改正には反対だ。理由はこれまで述べてきた通りだ。改憲をする必要はないと思う。

 選挙が終われば、憲法改正の議論が進む。そこで、絶対に避けてはいけないのが、対米従属や自立の問題だ。国民も一人ひとりが関心を持ち、日本をどういう国にしたいかを考え、政府を監視する目を養わなければならない。