安倍首相は”悲願”である憲法改正に邁進している(写真:UPI/amanaimages)

 10月22日の衆議院総選挙に向けて、与野党ともに全くと言っていいほど触れていない肝心なことがある。それは、「対米従属論」についてだ。

 総選挙後は、改憲勢力が拡大するだろう。となると、これから憲法改正に向けて議論が進む可能性が高い。そこで絶対に避けてはいけないのが、対米従属論である。

 今、ベストセラーになっている、ノンフィクション作家・矢部宏治氏の新刊『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)で、この問題が詳しく指摘されている。

 例えば、日米地位協定というものがある。1983年12月に外務省が作成した高級官僚向けの極秘マニュアル「日米地位協定の考え方 増補版」には、次のような箇所があるという。

・アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。

・日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

 繰り返すが、これは83年の話だ。敗戦後の占領下時代(ポツダム宣言を受託した1945年からサンフランシスコ講和条約が発効した52年まで)の話ではない。もちろん、今もその内容は全く変わっていない。

 これは横田空域問題でも、しばしばクローズアップされている。首都圏の空は米軍に支配されていて、日本の航空機は米軍の許可がなければ、そのエリアを自由に飛ぶことができない。だから、日本の航空会社は該当区域を避けて、不自然なルートで飛行しているという。

 石原慎太郎氏が都知事を務めていた時、米国に「横田基地を米国と日本で共同使用したい」「東京の上空を返還して欲しい」と要求したことがある。しかし、両方とも「NO」という答えが返ってきた。

 本書では、日米合同委員会についても触れている。この狙いは、戦後日本において、米軍が占領特権を維持するというものだ。占領下時代に始まったもので、今も続いている。

 日本側の代表は、外務省北米局長だ。以下、各省庁の局長や審議官が参加している。一方、米国側の代表は、なんと在日米軍司令部副司令官だという。日本側の代表が外務省の局長であれば、米国は国務省の局長でないと釣り合いが取れない。つまり、米国側の代表は、日本よりもはるかに格下の人物を置いているというわけだ。

 同委員会では、日本の法律や憲法に関係なく、日米関係のルールがどんどん決められている。日本は、米国に従属していると言える内容だ。