レームダックにならないためには、憲法改正よりも経済政策だ
10月2日に発足した第4次安倍内閣は、長くとも3年間で終わることが決まっている。ピリオドがはっきりしている政権は、歴史的に見るとレームダックになりやすい。中国では、政権がレームダックになるのを防ぐために、終身制にした。ロシアでも同様である。
安倍首相は今、レームダックにならないためにはどうすればいいかを懸命に考えているだろう。ところが、この問題を真剣に考えている自民党幹部、あるいは閣僚たちはほとんどいないのである。自民党の多くが、安倍首相のイエスマンに成り下がっているからだ。
その証拠に、今年話題になった森友・加計学園問題では、党内から異論の声は全く出なかった。かつての自民党ならば、猛烈な反発が巻き起こったはずだ。今、自民党の議員たちは、安倍首相の信用を損ねるのを恐れ、いかなる問題が起こっても批判することができない。
このように論争の生まれない体制になってしまったのは、何度も本コラムで指摘しているように、選挙制度が中選挙区制から小選挙区制に変わったことにある。まさに、自民党の劣化が起こっているのである。
この点を認識している幹部もいるが、中選挙区制に戻す場合は選挙にかかるコストが膨大になることから、反対の声が多い。
第4次安倍内閣のレームダック化を阻止するためにはどうすればいいのか。僕は、新たな経済政策しかないと思う。
国民の多くは、アベノミクスは行き詰まりつつあると考えている。さらには、19年10月には消費増税も控えている。ここで国民が納得できる経済政策を打ち出せなければ、19年7月の参議院選挙で自民党は敗北の可能性も否定できない。
安倍首相はこの点を本気で考えているだろうが、周囲の自民党幹部たちはどれだけ真剣に考えているのか。僕は自民党の応援団ではないが、ここが非常に懸念するところである。憲法改正の議論以上に、経済政策の方が重要であることを忘れてはならない。
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