沖縄県知事選で当選した玉城氏(写真:小早川渉/アフロ)
沖縄県知事選で当選した玉城氏(写真:小早川渉/アフロ)

 9月30日投開票の沖縄県知事選挙では、玉城デニー氏が初当選した。それも、対抗馬である政権与党が推す前宜野湾市長の佐喜眞淳氏を大きく引き離す圧勝だった。

 玉城氏は、なぜここまで大勝したのか。理由は3つある。

 1つは、玉城氏の生い立ちだ。彼の父は、沖縄米軍基地に駐留していた米兵、母は沖縄県の女性である。そして、玉城氏自身も沖縄県で育った人物である。沖縄県民からすれば、沖縄と縁深い人物を支持したい心情があるのだろう。

 2つ目は、「辺野古移設問題」に対する意識だ。沖縄県の面積は、日本全域の約0.6%に過ぎないが、国内の米軍基地の70%がある。沖縄県民は、やはり米軍基地に対して反対の声が強い。心情的にも、抵抗感が強いと感じる。

 そこで、辺野古移設に反対し、在職中に亡くなった翁長雄志前知事の後継である玉城氏は、沖縄県民に多いに支持された。

 3つ目には、自民党の傲慢さを指摘したい。

 かつて、小渕恵三政権時代、野中広務氏らが沖縄県を回り、地元と信頼を築いていた。小渕氏はこうした流れの中、沖縄で主要国首脳会議(サミット)を開催することに決めたのである。

 野中氏は「沖縄県は、日本全体の犠牲になっている」と言っていた。太平洋戦争の末期、沖縄県では多大な犠牲者が出た。しかも、沖縄県は戦後になっても長い間、米国の占領下に置かれていた。言論の自由も何もない、実に不自由な生活を迫られていたのである。やっと占領下から解放され、沖縄県が日本に返還されたのは、1972年のことだ。

 ところが、占領下から解放された後も、多くの米軍基地は残ったままだった。ここに大きな矛盾がある。

 しかし、現在の自民党は、そういった意識は薄れているようだ。亡くなった翁長氏が沖縄県知事を務めていた時、何度も安倍首相に会おうとしたが、安倍氏は4カ月以上、翁長氏に会おうとしなかった。一体、どういうつもりだったのか。

 やはり、安倍氏は傲慢になっていると言わざるを得ない。こういう態度が、沖縄県民の反発を強めたのだろう。

 自公の推した佐喜眞氏は、選挙中、辺野古移設問題に触れなかった。つまり、誤魔化したのである。辺野古移設に賛成ならば、なぜ辺野古に移設するのか、県民の理解を得るために根気強く説明すべきだった。

 これでは、佐喜眞氏は勝てるわけがない。

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