解散の理由は「言えない」

 安倍首相は、解散総選挙を表明してから、米国の武力行使について一言も触れていない。

 なぜ、安倍首相はその話をしないのか。僕は、「米国が武力行使をする可能性がある」と安倍首相自身が発言することで、対米関係が悪化する恐れを感じているからではないかと思う。

 僕は、安倍首相が解散総選挙を表明した日、自民党の議員たちに「安倍さんは、なぜ武力行使の話をしないのか」と聞いて回った。すると、皆「分からない」と口を揃えた。誰にも本当の理由を伝えていないのだ。解散の理由は「ない」のではなく「言えない」のだと理解するほうが自然だろう。

 ただし、武力行使の恐れと、それによって日本も被害を受ける可能性があることを言わなければ、「なぜ、今解散するのか」を国民に納得してもらうことができない。これでは自民党にとっては大分不利になる。結果的に、今度の総選挙では、安倍首相の意図に反して自民党が議席を大幅に失うリスクがある。

 今、自民・公明で全議席の3分の2を占めているが、選挙をすれば、そのラインを維持することはできないと私は見ている。自民党だけで過半数を取れるならばまだマシだ。下手をすれば、公明党とあわせてようやく過半数を取るレベルまで議席が落ち込む可能性もある。

 そうなると、安倍首相の再選は非常に危うくなる。今度の選挙は、「チャンス」とは言い難い。安倍首相にとって、想像以上に苦しい戦いになるはずだ。