しかし、地方の党員はそれほど安倍首相の後ろ盾を必要としていない。石破氏はそこで地方で多くの支持を得ることができた。
三選となった安倍首相にとって最大の課題は経済
これからの自民党にどのような変化があるだろうか。一つ言えるのは、石破氏の存在感が増したことだ。
もし、来年7月に控える参議院選挙で、野党が一本化することがあれば、野党勝利の可能性はゼロではない。野党が勝利すれば、安倍首相は辞任せざるを得なくなる。その時は石破氏がトップに立つだろう。今も自民党に強い影響力を持つ青木幹雄氏は、それを狙っている。
総裁選三選となった安倍首相にとって最大の課題は経済だろう。今、アベノミクスは相当行き詰まっている。借金財政に陥り、日銀も出口戦略がない。2020年の東京五輪後に不況が訪れる可能性もある。こういった数々の経済問題を打開できるのか、経済問題を最も危惧しているのは、安倍首相本人だろう。
もう一つの課題はトランプ米大統領とどう付き合っていくか。トランプ大統領は「米国第一主義」を掲げ、オバマ氏とは異なる政策をとっているからだ。多くの問題は残されたままだ。一体どのように対応していくのか、注意深く見守っている。
プーチン大統領は、日露関係を前進させようとしている
9月10日、安倍首相とロシアのプーチン大統領との首脳会談が行われた。プーチン大統領は領土問題などの前提条件を抜きにした日露平和条約を提案した。これはちゃぶ台をひっくり返すような大問題である。
僕はすぐにあるロシア通に連絡をとって話を聞いたところ、「大丈夫だ、これは前向きに捉えた方がよい」という答えが返ってきた。悲観することはなく、むしろプーチン大統領は日露関係を前進させたいという意欲がある、と捉えるべきだというのだ。
それでもこのままでは北方領土は返ってこない。というのは、この問題は日露だけの問題ではないからである。
かつてロシア側が「北方領土2島が日本に返還された場合、米軍は2島に進駐するのか」と日本政府に尋ねたところ、日本側は「進駐する」と答えた。この前提が覆らない限り、プーチン大統領は絶対に北方領土を返さないだろう。
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