太平洋戦争時にも、同様のことは言える。米国と戦争をして、勝てると思った日本人は誰もいなかった。しかし、なぜ日本は米国との開戦に踏み切ったのか。

 軍隊というものは、勝てないと分かっていても、戦えるなら戦うものなのだ。

 これに対して、竹下登氏が首相になった時、僕は「日本には自衛隊というものがあるけれど、戦えない軍隊じゃないか。それでいいのか」と尋ねたことがある。すると、竹下氏は、「だからいいんだ。だから日本は平和なんだ」と答えた。

自立論はあまりリアリティがない

 今、日本の防衛戦略は、非常に難しい局面に差しかかっている。

 日米安保条約が結ばれたのは、冷戦時代のことだ。当時、日米はソ連と敵対していたが、日本だけでは軍事的にソ連に対抗することはできない。そこで、日本が他国から攻められたら、米国は日本を守るという約束をした。ただし、米国が他国から攻められたら、日本は何もしない。

 なぜ、このような内容が成立したかといえば、米国は日本ではなく、「極東」を守るという思惑があったからだ。日本は、完全なる対米追従の構図となる。

 そして冷戦が終わると、風向きが変わる。「日本は対米従属から自立すべきではないか」という声が上がり始めたのだ。一方で、「冷戦が終わったから、米国は日本を守る必要がなくなったのではないか。このままでは日本は米国に見捨てられる可能性がある。対米関係を強化しなければならない」という主張も出始めた。

 自立論と日米関係強化論の対立が起こり始めたのである。ただし、自立論はあまりリアリティがない。

 では、日米関係を強化するのであれば、どこまでやるべきか。