冒頭に挙げた海上自衛隊が潜水艦を南シナ海へ極秘派遣した訓練について、報道には「防衛省の指示」とある。しかし、元防衛相らの話によると「防衛省はこんなことを許可していない。当然のことながら、安倍首相も知らないだろう」と言うのである。

 つまり、この訓練は、海上自衛隊が独自の判断で実施したということである。さらに言えば、日本では海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊、3者の連携も弱いという。これでは戦前の状況に重なるのではないか。

 それほど重要なことを、なぜ歴代の防衛大臣は総理大臣に問題提起しないのか。元防衛相に尋ねると、「あまりにも大変な問題で、触れるのがこわいから」と答えた。

難しい問題、困った問題は、なかったことにする

 日本人は、大変なことは「なかったことにする」傾向がある。その典型例が、原発問題だ。かつては原発は「絶対に事故は起こらない」といわれていた。事故を想定しなかったから、東京電力はしっかりした避難訓練すら実施しなかった。

 なぜ、やらなかったかといえば、そうした避難訓練をするということは、事故の可能性があると同義になってしまうからだ。そんなことがあれば、地元の原発反対の声が高まりかねない。こうして東電は、事故が起きる可能性を否定したのである。

 しかし、実際はどうだろうか。2011年3月、東日本大震災の影響で福島第一原発の事故が発生した。いまだに、事故の収束は見込めない状況だ。

 このように、日本は同じようなパターンを繰り返している。困ること、大変なことは、「ない」ことにするのである。

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