現実味を帯びてきた「最悪のシナリオ」

 ところが、フセイン氏側は「田原さんの行動はCIAが全部キャッチしていて、フセイン氏と会った瞬間に爆撃されるから、残念ながら会わせることができない」と述べ、代わりにラマダン副大統領とアジズ副首相に会うことになった。

 そこでラマダン副大統領が次のような話をした。

 「米国は、我々が大量破壊兵器(核兵器)を持っているとか、アルカイダと深い関係があると主張して攻撃しようとしているが、恐らく本当に攻めてくるだろう。なぜならば、米国は我々が大量破壊兵器を持っていないことを分かっている。もし、我々が本当に大量破壊兵器を持っていたら、米国は攻撃することはない」

 核兵器こそ攻撃の抑止力となるということを、北朝鮮はよく理解している。だから、北朝鮮は核兵器を放棄することはない。おそらく、中国とロシアも、北朝鮮が核兵器を持つことを承認して、核廃棄を強く求めないだろう。

 米国、中国、ロシアの思惑が根本的に異なっている。ここをどうすればいいのか。日本は、そのあたりの方針がいまいち曖昧だ。表側では「核放棄」を主張しているが、方向性は明確に定まっていない。

 これから世界はどうなるのか。思惑が一致しなければ、米国は武力行使する可能性がある。すると、北朝鮮は、米国本土を攻める能力はないから、韓国や日本の米軍基地に攻撃をする恐れがある。

 特に韓国は大きな被害を受けるだろう。その最悪のシナリオが、現実味を帯びてきたように思う。

 では、回避するためにはどうすればいいのか。

 僕は6カ国協議しかないと思う。もちろん、そこまで漕ぎ着けたとしても、米中露の間で話がまとまらない可能性もある。ただし、北朝鮮は米国との話し合いのテーブルに着くことさえできれば、これ以上、ミサイルの発射や核実験をやることはないだろう。

 実現は難しいだろうが、対話に持っていくことができなければ、米国が武力行使をする可能性が高まる。これだけは絶対に避けなければならない。