原発を新設できないことを、自民党の幹部は分かっている

 日本の政治家は、エネルギー政策に関心がない。エネルギー戦略に責任を持とうとしないのである。

 ただ、関心のある者が全くいないわけではない。僕は、自民党内で最もエネルギー政策に関心を持っているのは、大島理森氏だと思う。

 民主党政権時代、福島第一原発事故が起こった。民主党政権というものは、論客は多いが、泥をかぶる人物が誰もいなかった。

 ただ一人いるとすれば、仙谷由人氏だった。仙谷氏は東電の危機に対処するタスクフォースを始めようと言いだし、彼の周りに民主党の議員たちが集まった。仙谷氏はその時、現在の経産省の事務次官である嶋田隆氏、それから現在の安倍首相の秘書官である今井尚哉氏と組もうとした。

 僕は当時、これほどまでの大問題では民主党だけでは対処できないと考え、自民党の大島氏に支援を頼んだ。すると、大島氏は喜んで力を貸してくれた。こうして、大島氏、仙谷氏、嶋田氏、今井氏でタスクフォースを取り仕切ったのである。

 ところが、12年12月の選挙で民主党は大敗。仙谷氏は、原発推進派と誤解されて落選した。仙谷氏はどちらかというと、原発には否定的な意見を持っていたのであるが、エネルギー政策として原発を考慮せざるを得ないと考えていた。今振り返ると、仙谷氏は非常に現実的だったと感じる。

 その後、僕は大島氏に「エネルギー戦略に取り組め」と言ったが、安倍首相は大島氏に対して、理屈っぽくて難しい人物だと捉えていて、彼を衆議院議長にした。

 こういった経緯を経て、今、自民党には原発やエネルギー戦略の責任者は不在となっているのである。

 政治家たちにエネルギー政策について関心を持ってもらうには、どうすればいいのか。一番の問題は、政治家のほとんどがこのエネルギー政策から逃げているということだ。僕は、これまで数々の自民党幹部たちに声をかけてきたが、責任を持って取り組もうとする者はいなかった。

 ただ、割と有望と思っているのは齋藤健氏だ。彼に、エネルギー戦略に責任を持ってやってみないかと話したところ、考え込んでいた。

 中長期的な未来を考えると、このまま何もしないわけにはいかない。原発について、僕は現時点で100%反対とまではいわないが、先々を考慮すると、原発は日本でもう新設できないのは間違いない。耐用年数を考えると、あと十数年で原発はすべて稼働できなくなる。

 原発を新設できないということは、自民党幹部たちは重々分かっている。

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