米国が武力行使する可能性はある

 もう一つ、よく分からないのは、中国の方針だ。実際のところ、中国は北朝鮮に対して圧力をかける気があるのか、あるいは、やれないのか。どちらなのか分からない。

 おそらく、中国は北朝鮮の核・ミサイル開発を防ぐつもりはないのだろう。制裁強化も本気でやろうとしていない。表向きには「圧力をかける」と言っても、裏側ではやめないだろう。

 米国は北朝鮮を核保有国として認める前に、武力行使をする可能性がある。マティス国防長官は、緊急招集した国家安全保障会議で、トランプ大統領に軍事オプションについて一つひとつ説明するよう求められたという。

 問題は、武力行使が決定的になった時に、日本がどのように対応するかということだ。先日の北朝鮮の核実験後、日米首脳電話会談では「2国間の断固たる相互防衛の約束」を確認したという。

 「相互防衛」とは集団的自衛権を指す。もし、米国が北朝鮮に武力行使するのであれば、米国は日本に集団的自衛権の行使を求めることになる。つまり、自衛隊が出動して、攻撃も行うということだ。

 それを約束したとなると、日本は応じなければならない。これは大変なことだ。日本が武力行使に参加すれば、中国やロシアはどうするのか。2国が「朋友」になりかねない。

 8月30日の産経新聞は、「『専守防衛』という抑制的な立場では十分な対応はとれない。そのことを国民に説明し、『積極防衛』への転換を宣言すべきだ」と主張している。つまり、集団的自衛権を行使するということだ。

 日本政府も安倍首相も、米国が集団的自衛権の行使を要求する可能性を認識している。しかし、米国の方針が定まらないから、対応に困っているのが実状だ。

 では、なぜ米国の方針がはっきりしないのか。トランプ政権は、北朝鮮の行動が読めないのではなく、中国に期待していた部分が大きいのではないかと思う。

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