安倍政権を徹底批判する理由

 第一次安倍内閣が誕生する約3カ月前のことだ。

 その時点で、小泉氏の次は安倍氏だということがほぼ分かっていたので、僕は安倍氏に「あなたが首相になったら、まず米国に行きたいと思うだろう。だが、小泉純一郎が靖国神社を参拝しているから、日中関係は最悪だ。だから、あなたが総理大臣になったら、まずは中国に行って胡錦濤に会うべきだ。胡錦濤が日本に来るまでは、絶対に靖国には行くな」と伝えた。

 すると、安倍氏は「胡錦濤は会ってくれるだろうか」と聞いた。「胡錦濤が会ってくれるなら、行くのか」と聞くと、「行く」と答えた。

 僕は当時の外務省の事務次官だった谷内正太郎氏に会い、「安倍晋三が中国に行きたいと言っている。あなたは今、中国の外交トップの戴秉国(たい へいこく)国務委員(当時)と仲が良いから、安倍さんと胡錦濤が会えるように計らってくれないか」と頼んだ。

 すると、谷内氏は「もちろんやりたいが、まずは外務大臣に言うべきではないだろうか。そうしないと、二重外交になってしまう」と言った。僕は、「大臣に話したら失敗に終わる可能性が高い。絶対に言うな」と答えた。

 それでも、谷内氏が「二重外交になる」と渋るので、僕は「二重だって三重だっていいじゃないか」と強く言った。すると、谷内さんは、「田原さんを信用していないわけではないが、安倍さんから直接、胡錦濤に会いたいという話を聞かせて欲しい」と言った。

 そこで、ホテルオークラの「桃花林」という中華料理屋で、安倍、谷内、僕の3人で会い、安倍氏が直接「胡錦濤に会いたい」と切り出した。こうして、谷内さんの計らいによって安倍さんの訪中が実現し、戦略的互恵関係を結んだのだった。

 その後、安倍氏は韓国にも立ち寄ることになった。温家宝が日本にやってきたのは、その直後のことだ。

 僕は、言うべきことは誰に対しても何でも言う。今、自民党は共謀罪、森友学園問題、加計学園問題など、多くの問題で批判を浴びているが、これは一強他弱が続いて、安倍首相の神経がたるんだのが原因だと思う。

 もう一ついけないのは、以前「“茶坊主”ばかりの自民党が崩壊するシナリオ」でも述べた通り、選挙制度が中選挙区制から小選挙区制に変わったことで、自民党からの公認を得たい議員たちが皆、安倍首相のイエスマンになってしまったことだ。

 共謀罪、森友・家計問題について、本音では反対したい議員がたくさんいる。しかし、反対すれば自民党からの公認が得られないから、イエスマンになってしまった。その結果、安倍首相の神経がたるんで、国民の不信感を煽るようなことばかりしている。だから、僕は徹底的に彼を批判しているのだ。

 僕の原点はやはり、終戦の体験から感じた、権力やマスコミは信用できないという強い気持ちだ。

 日本があのような間違った戦争を始めたのは、「言論の自由」がなかったからだ。歴史を繰り返さないためにも、言論の自由は体を張ってでも守らなければならない。そういった気持ちで、僕はジャーナリストを続けている。