「安倍1強」はどこまで続くのか(写真:AFP/アフロ)

 経済産業省は7月24日、元首相秘書官で経済産業審議官を務めていた柳瀬唯夫氏が退任する人事を発表した。柳瀬氏は57歳で、定年退職ではない。

 柳瀬氏は、加計学園の獣医学部新設をめぐり、同学園の関係者と面会していたことが問題となっていた。新聞各紙によると、辞任の背景には、柳瀬氏の国会での発言を虚言であったとする野党側が証人喚問を強く求めていた事情がある。そこで政府は証人喚問を回避するために退任させた、とする。

 僕は正直なところ、柳瀬氏に同情している。柳瀬氏は、加計学園の獣医学部新設を進展させるために、2015年3月以後3回にわたって、同学園の幹部たちと面会している。それを、彼は国会で“面会は上司の許可を得ず、自分が勝手にやったことだ。その後、報告もしていない”と証言している。

 僕は柳瀬氏について、彼が課長時代からよく知っている。非常に真面目で、仕事のできる男だ。こんなことを上司の許可なく勝手にやるようなタイプではない。

 彼の上司とは誰か。言うまでもなく安倍首相である。愛媛県や今治市の記録によると、2015年2月25日に安倍首相は加計学園の加計孝太郎と面会し、獣医学部開設について話をしたという。これが事実とすれば、その後、柳瀬氏が加計学園側と面会して話を進めるという流れは極めて合理的だ。

 ところが、加計学園の加計孝太郎理事長は、6月19日の記者会見で、「2015年2月25日の加計学園と安倍首相との面会は記憶にも記録にもない」と述べた。しかも、愛媛県の文書に記載されたのは、獣医学部の新設を進めるために同学園の渡辺良人事務局長が勝手にやった話だ、と主張したのである。だが、加計学園という独裁的な集団で事務局長が勝手にやっていることはありえない。加計氏が事務局長の一連の動きを知ったのはいつなのか。この質問に対し、加計氏は「分からない」と言った。理解しがたい話ばかりである。

 しかもこの記者会見は、告知は会見の2時間前というタイミングであった上、地元以外のメディアを拒否したため、東京、大阪の記者が出席できなかった。会見時間も、たった26分間しかなかった。

 加計理事長と安倍首相の関係は非常に密接である。加計学園側がうそをついたとすれば、いち早く安倍首相に報告しなければならない。さもなければ、安倍首相は怒るはずだ。だから、加計理事長の言うことはまったくもって信用できない。柳瀬氏も重々承知のはずだ。加計学園側の渡辺事務局長も、上司である加計理事長への報告はしていなかったというが、これも不自然な話だ。加計理事長と安倍首相が面会していたのであれば、すべての筋が通る。