金融機関にも危機感

 さらに、僕は三井住友フィナンシャルグループのトップたちを取材した。同グループはメガバンクの中でも、最もAI開発が進んでいると言われている。

 昨年秋、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループの3メガバンクが大規模なリストラを相次いで発表した。

 みずほフィナンシャルグループは、2026年度までにグループの従業員数を1万9000人削減にするという。三菱UFJフィナンシャル・グループも、業務を見直し、9500人分の業務を削減するという。三井住友フィナンシャルグループも、2020年度までに4000人分の業務を削減すると発表した。

 今後もリストラが予想されるが、大きな理由の一つに、フィンテックやAIの登場によって、銀行員の事務的な業務の多くが自動化できるが挙げられる。

 銀行のあり方が大きく変わるという。銀行の役割とは大きく分けて二つある。一つは、企業や個人への貸付。もう一つは、預金である。ところが、日本は経済成長が鈍化し、企業が積極的に設備投資をしなくなる一方、日本企業は400兆円もの内部留保を抱えていると言われている。

 銀行の貸し付け業務がどんどん落ち込み、さらにマイナス金利で預金業務の業績も悪化している。銀行のメイン業務は、いずれも落ち込みが激しいということだ。

 これについて三井住友フィナンシャルグループのトップたちは、次のように語った。「金融事業から総合的なサービス業になっていく。具体的には、コンサルティングとかかわりがあるが、サービスの質を高め、思い切って幅も拡げていく」。

 つまり、資産運用のコンサルタント、企業運営のコンサルタント、ビジネスプロデュースが一つの大きな役割になっていくということだ。ここに着手しない限り、銀行の未来はないという。そのために、三井住友フィナンシャルグループもシリコンバレーに拠点を置いている。

 大企業は大変な危機感を持って一斉にAI社会に向けた事業転換に取り組んでいるのである。

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