日本はどうするのか。EU側は、米国がとった鉄鋼やアルミニウムの追加関税に対し、世界貿易機関(WTO)に提訴している。一方、日本は対応に困り未だに態度を明らかにしていない。EUと違って、日本は米国との関係が非常に強固であり、米国を頼りにしている面が強いからである。

 さらに、ここには北朝鮮に対する拉致問題も複雑にからむ。日本はEUの「反トランプ」の姿勢に全面賛成の立場をとることは難しい。

米国はイラン核合意を破棄したうえに…

 EUが報復関税の対象として、米国からの二輪車の輸入に高い関税をかけると表明した。すると、米大手二輪メーカーのハーレー・ダビッドソンは「工場を米国以外に置く」と言い出した。トランプ氏は激怒したものの、この問題では米GMまでもが、トランプ氏に反対の意向を示し始めたのである。

 さらにトランプ氏は今度は輸入する自動車に対しても関税をかけると言い出した。日本の対米輸出の3割は自動車である。もし、ここに高い追加関税をかけられたら、日本の自動車業界は大ダメージを避けられない。

 僕は、官邸筋に「自動車への追加関税に対してはどう臨むのか」と聞いた。すると「EUがWTOに米国を提訴するという主張には日本は参加できない。しかし、自動車の関税については、米国にNOと言うしかない」と話していた。

 問題は、どのように伝えればいいのか、だ。ここで、安倍首相が非常に困っているという。仮にNOと言ってしまえば、拉致問題にも影響しかねないだろう。

 問題はこれだけではない。世界の国々はイランの核合意に賛成しているが、米国は破棄したうえで「イランから原油を輸入するな」と日本や中国、EUに要求している。

 日本のイランからの石油輸入量は、全体の5.5%。数字だけを見れば大きな比率ではないが、それ以上に、日本はイランと昔から友好関係を築いている。

 しかも日本は、イランから原油を輸入しているだけではない。多数の日本企業が、イランに投資をしている。米国は今、その投資すらもやめろと要求しているが、経済産業省は、「いくら米国からやめろと言われても、やめるわけにはいかない」と言っている。

 自動車への追加関税の問題にイランの原油輸入禁止の問題も重なり、日本政府は困り切っている。