僕は当然、安倍首相は、米朝首脳会談と結びつけ、拉致問題の解決の糸口としたいと考えていると思う。

 繰り返すが、日本国内では拉致問題に対する関心が高まっている。安倍首相も、これを最大の問題と認識している。

 おそらく、安倍首相にとっては9月に控える自民党総裁選に対する一つの切り札が、拉致問題だと捉えているはずだ。安倍首相としては、総裁選の前に日朝首脳会談を実現したいと考えているだろう。

経済支援の規模はどうなるか

 北朝鮮が本気で非核化しようとした場合、焦点になるのは経済支援の金額だ。

 一部の専門家の間では、100兆円規模との意見もあるが、僕はそれほど大きな額にはならないと思う。2002年に平壌での日朝首脳会談が実現した当時、小泉首相は、北朝鮮との国交正常化が実現した場合に日本が負担する費用は1兆円と考えていた。

 その当時から考えると、今回はもちろんそれ以上の金額となる。とはいっても、100兆円規模は非現実的だろう。おそらく数兆円規模にのぼるのではないかと僕はみているが、実際のところは今後の交渉次第だ。

 もう一つの問題は、拉致問題解決の着地点をどこにするかである。日本政府は拉致問題の全容について正確な情報を把握していないもようだ。ただし、日朝首脳会談をやろうとしていること自体、帰国する可能性のある拉致被害者がいることを示す。すると、拉致被害者が年内に帰国することもあり得る。

 日朝の関係がこれからどんな方向に動いていくのか。引き続き注目したい。

田原総一朗、猪瀬直樹著

 たび重なる大震災、2度の政権交代――それでも変わらない政治の無責任体質。少子化と反比例するように増え続けた国の借金は1000兆円。昭和の遺産を食いつぶし、後退戦を続けた平成の30年間、いったいどこで失敗した?

 冷戦終結からモリカケ問題まで、改元まで一年を切った今、平成が積み残した問題を徹底総括! 日本のタブーに斬り込んできた作家とジャーナリストの大激 論から見えてきた、日本がこれから進むべき道とは?

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