北朝鮮を「楽園」と報じた日本の新聞

 先に触れた世論調査の結果は、韓国人が「ムン大統領が対日関係において強硬的な態度を取ることが日韓関係の“改善”に繋がる」と捉えていることを示すものではないと思う。

 これは、韓国人の「日韓関係を改善したい」という期待の現れである。だからこそ、僕はこの結果が意外だった。もっと言えば、この世論調査の主体が、リベラルな朝日新聞ではなく保守的な読売新聞だということにも驚いた。

 1970年代には、日本の新聞は「北朝鮮こそ、理想の国だ。地上の楽園がある」と書いた。一方、韓国については批判を続けた。

 ところが当時、僕はある金融機関のトップから、「田原さん、今、韓国は経済がよくなってきているんですよ」という話を聞いた。僕はそれを確かめたくなって、韓国に取材に行くことにした。同国の経済界トップたちと会って話を聞くと、やはり韓国経済は非常に元気だという。現代自動車や浦項製鉄所(現・ポスコ)などの企業も訪れたが、確かに急成長を遂げていた。韓国は批判されるような対象ではなかったのだ。むしろ、いつか韓国は日本に追いつくのではないかという恐れも感じた。

 帰国した僕は、総合月刊誌「文藝春秋」で、「韓国の政治は独裁だが、経済は絶好調だ」という話を寄稿した。すると、文藝春秋に抗議が殺到した上、あちこちで糾弾集会が開かれた。僕は糾弾されるのは割に好きだから、自ら集会に出向いて、そのすべてに反論した。

 そしてさらに1年半後には、僕の主張していた通り、韓国経済はぐんぐん成長していて、かなり好調だということが日本国内でも認識されるようになった。今、韓国内で、歴代大統領の中で最も人気が高い人物の一人は、当時の大統領である朴正煕(パク・チョンヒ)だ。これも、当時の韓国が国としてうまくいっていたことを示しているだろう。

 僕はこれまで、韓国の政治家に何人も会って取材をしてきた。面白いのは、韓国の政治家たちは、与野党問わず、「日本は本当に素晴らしい国だ。我々は日本を手本にしている」と言っていたことだ。「でもね、田原さん。それは、国民の前では言えないんだ」と付け加えていたが。

 しかし、今回の調査は韓国国民の日本に対する感情は悪くないことを示している。問題はむしろマスコミにある。日本では、週刊誌や月刊誌で、韓国や中国の悪口を書くと売れる。だから、日本の雑誌は、韓国や中国を批判する記事を積極的に書こうとする。これも、韓国に対するイメージを悪化させている大きな一因だと思う。韓国でも、日本の悪口を書けば反響がある。

 互いの反感を煽っているのは、マスコミではないか。そろそろ煽るのは止めて、日韓を始めとするアジアの将来を考えるべきだ。ここが、最も重要な問題だと思う。