「北朝鮮への経済支援は、日本、韓国、中国がやるだろう」

 北朝鮮の言う「朝鮮半島の非核化」とは、自国の非核化と同時に韓国に駐在している米軍を撤退させることも意味している。米朝首脳会談で金正恩朝鮮労働党委員長はこの点について主張してくるだろう。おそらく、ここは北朝鮮は中国と意見が一致している。

 日本政府は、トランプ大統領はこの要求を受け入れるのではないかとみている。トランプ大統領はかねてより韓国に米軍が駐在していることについて「負担が大きい」と主張していた。元々コストの削減を目指していたわけだから、米軍撤退はやぶさかではないだろう。

 非核化後の見返りについて、トランプ大統領はホワイトハウスで北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長と面会した後の会見で、「北朝鮮への経済支援は、日本、韓国、中国がやるだろう」と発言した。

 日本政府はこれからの負担に頭を抱えている。ただし、トランプ大統領のこういった発言は、事前に予測できていたと思う。

 日本政府は、北朝鮮に経済支援をするとなれば、その前に拉致問題を絶対に解決することを条件に挙げると思われる。ここが絶対条件であると、安倍晋三首相も認識しているだろう。

 北朝鮮は、拉致問題は解決済みだと主張し、戦後補償の話を持ってこようとするに違いない。ただしこれは、拉致問題を日本に対し「高く売りつけよう」としているポーズに過ぎない。北朝鮮は拉致問題に蹴りをつけなければ、日本が絶対に経済援助をしないと分かっている。問題は、その時の「金額がどれくらいになるのか」だ。

 日本政府はそのシナリオは分かっているだろう。それでも金額がいくらになるかなどのシミュレーションはできていない。外交戦略を米国に依存している分、読めない部分が多いのだ。

 例えば、米国が日本などに課した鉄鋼・アルミニウムの追加関税についても同様である。当初、日本政府は「同盟国である日本は、対象外になるだろう」と軽視していた。世耕弘成経済産業相もそのように認識していた。しかし、結局日本は対象外とならず、追加関税を課せられることになったのである。それに対して、日本は「ノー」と言えない。外交戦略も同じなのだ。

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