支持率を揺るがす大問題に発展する

 加計学園問題は、安倍内閣の支持率を揺るがすきっかけになりかねない。加計学園問題は、安倍首相の直接的な関与が疑われる文書が出た。前川氏は、内閣府から圧力を受けたことで、「行政が大きくねじ曲げられている」とまで言っている。この点が、森友学園問題と全く違うところだ。

 加計学園問題は、国民にとって非常に分かりやすい。

 例えば、共謀罪などの問題は、良いのか悪いのかはっきりしにくい。野党は、「共謀罪が成立すると、自由のない超管理社会が招来する」と言っているが、欧米ではすでに法案が通っている。国際組織犯罪防止条約に加盟している国は、世界で187カ国。加盟していない先進国は日本だけだ。なぜ日本は共謀罪を新設しないのかという意見も多数あり、国内の賛否は真っ二つに分かれている。

 一方、加計学園の構図は明快だ。「総理の意向」から獣医学部の開設が認められたのであれば、それは国民にとって分かりやすく「悪いこと」である。その点で、国民が感じるインパクトも大きいだろう。

 前川氏の証人喚問が実現するかどうかは、国会が決めることだ。その点では、与党は数の力で圧倒的に有利だから、「証人喚問をしない」ことに自信を持っているのだろう。しかし、与党が前川氏の証人喚問を拒否し続ければ、国民から「これは問題ではないか」という不安の声が上がり始める。

 このまま与党が前川氏の証人喚問を拒否し続ければ、「何か隠したいことがあるのではないか」という空気が強まることは間違いない。自民党は、真実を明らかにするべく早々に証人喚問を開くべきだ。

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