さらに彼は、「もし、国会が証人喚問を要求するのであれば、それに応じる」と続けた。
なぜ、前川氏が口を開こうと思ったか。一つは、文科省の違法な天下り斡旋問題で辞任に追い込まれたことに対して相当な「怒り」があったからだろう。
もう一つは、先にも触れたように、加計学園問題について安倍首相からの圧力に抵抗できなかったことに対するやるせない思いが残っていたからに違いない。これらの思いが入り混じり、今回の発言に繋がったのではないかと思う。
「民間人だから」という理屈は通じない
自民党は「前川氏の主張は全く信用できない。真実ではない」と主張している。それに対し野党4党は、「真実かどうか、証人喚問をして追及すればいい」と一斉に前川氏の証人喚問を要求した。しかし自民党は、「前川氏は民間人だから、証人喚問する必要はない」と却下している。
「民間人だから証人喚問する必要はない」という理屈は通用しない。自民党は森友学園問題で、民間人である籠池泰典前理事長の証人喚問に応じたからだ。
当時、野党は籠池氏に対し、証人喚問ではなく参考人招致を要求していた。証人喚問と参考人招致は全く重みが違う。参考人招致は、その場でどのような発言をしても罰せられることはないが、証人喚問では偽りを述べれば偽証罪に問われてしまう。
自民党は当初、参考人招致すら拒んでいた。しかし、籠池氏が、首相夫人である安倍昭恵氏から100万円の寄付を受け取ったと話したことで、安倍首相を怒らせてしまった。これは、安倍首相に喧嘩を売るような行為だ。その直後に、自民党は籠池氏の証人喚問を決めた。
こういった前例があることから、「前川氏が民間人だから証人喚問は必要ない」という理屈は通らない。そもそも、今回は前川氏自身が証人喚問に応じると言っている。
前川氏の発言が100%真実かどうかは分からない。だからこそ、僕は証人喚問をしてきちんと追及すべきだと思う。自民党がそれに応じないということは、前川氏の口から、自民党あるいは安倍首相にとって非常に都合が悪いことが出てくるのではないか、という疑惑を持たれても仕方がない。
加計学園の問題は、証人喚問によって初めて幕が開くのだ。
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