トランプ大統領の頭の中はほぼ100%、秋の中間選挙が占めている。いかにしてここで勝つか、に強い関心を持っている。

 現時点では、上院は共和党が有利だが、下院は勝てないのではないかとの見通しが強まっている。もしも下院で負けると、トランプ大統領はロシアゲート問題で弾劾を受けるおそれがある。これを避けるために、是が非でも勝ちたいと望んでいるのである。

 トランプ大統領はこんな発言を繰り返している。「かつての大統領、オバマ氏もブッシュ氏も、北朝鮮問題について何もできなかった。しかし、私は違う」。こうしてトランプ大統領は北朝鮮に対して武力行使も辞さない構えを示し、その上、国連を巻き込んで圧力をかけてきたのである。

 その結果が韓国の特別使節団が北朝鮮を訪れた時の金正恩氏の発言だ。北朝鮮はそれほど厳しい状況に追い込まれているのだろう。だからこそ、米朝首脳会談の開催とともに、核放棄までやろうとしているのである。これは驚くべき事態だ。

 こうした北朝鮮の姿勢を、トランプ大統領は国内に向けて「自分は北朝鮮を屈服させた」と強くアピールしたい――。こうして、6月12日にシンガポールにて米朝首脳会談の開催が決まったのである。

二転三転の末に……

 流れが急変したのは、北朝鮮サイドが米国に対して強い批判をしはじめたためだ。

 その背景が何かと言えば、北朝鮮としては、米国に対し核放棄をできるだけ「高く売りつけたい」と考えていることだ。交渉の期間をできるだけ延ばしたい思惑もある。そのために北朝鮮は米国を批判したのだが、アピールが行き過ぎてしまったのではないかと思う。

 トランプ大統領は厳しい対応に踏み切り突然、米朝首脳会談の中止を表明。安倍首相はすぐにこの判断を支持すると表明した。

 トランプ大統領の判断は北朝鮮にとって、全く想定外の出来事だったと思われる。金正恩氏は相当慌てたに違いない。金正恩氏は即座に韓国の文在寅大統領に働きかけ、26日に板門店で南北首脳会談を開催。金正恩氏は米朝首脳会談の開催を強くアピールした。

 これに対するトランプ大統領の対応は再び世界を驚かせた。数日前の「中止宣言」を翻し、前向きな発言をし始めたからだ。

 こうした流れを受け5月27日、米国のトランプ政権の高官が板門店を訪れ、米朝首脳会談の実現に向けて実務レベルの調整を始めた、と報じられた。5月30日には、北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長とポンペオ米国務長官が会談。非核化について詰めの協議を行った。

 このまま米朝首脳会談は開かれるのかに注目が集まるが、僕は6月12日前後にほぼ予定通り米朝首脳会談は実現する、とみている。

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