カードを切り合う米中の関係

 トランプ氏は大統領選挙の際、「オバマ氏の『戦略的忍耐』のせいで北朝鮮が増長し、ミサイル発射や核実験をやるようになってしまった。あの政策は大失敗だった。自分が大統領になったら、北朝鮮に対して武力行使を含めたあらゆる手段をテーブルに乗せる」と非常に強気の構想を描いていた。

 トランプ氏は、米中会談で習近平氏に「北朝鮮の輸出の80%に影響を与えている中国が、北朝鮮に核を放棄するように働きかけてくれないか」と迫った。現に中国は、北朝鮮に相当圧力をかけているらしい。

 なぜ、中国が米国の言うことを聞いて動いているのか。

 トランプ氏は元々、「中国は悪質な為替操作をして人民元を安くし、どんどん米国に輸出をしている。米国の対中貿易赤字はずば抜けて大きい」と批判していた。

 ところが、彼は中国の輸出問題に対して徹底的に対策をとると言いながらもやっていない。つまりこれは、「貿易関連での強い批判を控える分、北朝鮮への対応を期待している」というメッセージだ。

 トランプ氏は実のところ、中国に期待している面と、北朝鮮と直接対話したいという面の両面を考えているだろう。それは、「武力行使を含めた選択肢がある」と言いながらも、5月8日、9日にノルウェーのオスロで米朝の非公式協議が行われたことからも読み取れる。

 その中で、北朝鮮はミサイルを発射した。しかも、今回のミサイルは大気圏外に出る高度2000キロ以上に達した。これまでの北朝鮮のミサイルは、大気圏に再突入すると弾頭が破壊されてしまっていた。ところが、今回の実験で、大気圏突破が実現してしまった。

 これは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の基盤ができあがったことを意味する。今年1月、金正恩が「ICBM開発の最後の段階だ」と発言したが、実際にその基本的な技術が開発されたことが実証されたのだ。

 しかも実際の射程は4000キロを超える可能性があるという。グアムまでは届くわけだ。この射程を3倍伸ばせば、米国大陸に着弾させることができる。