難民・移民問題の根源は米国

 では、肝心の難民・移民問題はどうするのか。マクロン氏はどう考えているのか。これから改めて大問題になるだろう。

 難民・移民の問題の根源は、イスラム諸国の混乱にある。この原因は、米国が作ったようなものだ。

 2003年3月。米国はサダム・フセイン大統領(当時)の独裁下にあったイラクへ侵攻した。このイラク戦争さえ起こさなければ、イスラム諸国が混乱することはなかったはずだ。テロ組織「IS(イスラム国)」も生まれなかった可能性がある。

 当時、米国は次のようなシナリオを描いていた。フセインという独裁者がイラク国民を抑圧し、言論の自由を奪い、苦しめている。だから、フセイン政権を倒せば、国民が安心して新しい政治をつくり、日本のような民主的な国が生まれるだろうと。

 しかし、ここに大きな誤算があった。実際にフセインを倒したら、イラクは大混乱に陥り、その最中にISも生まれてしまった。

 2010年から12年にかけて起こった「アラブの春」も象徴的である。チュニジア、リビア、エジプトで民衆による大規模なデモが起こり、30年続いた独裁政権が崩壊した。当時、穏健な政権ができたことで「アラブの春」と呼ばれ、欧米では「新しい時代の到来」と歓迎された。

 ところがその後、チュニジアを除く他のイスラム諸国ではデモクラシーは根付かず、あっという間に軍事政権に戻ったり、イスラムの武力勢力が支配する状態に陥ったりしてしまったのだった。

 つまり、米国の計画は大失敗に終わったわけだ。その後は、米国も欧州も、どうすればいいのか分からなくなったのだと思う。