情報通たちの話によると、ハンソル氏が絶対に安全な状況に置かれたことを示すためだという。つまり「ハンソルはアメリカの管理下にある」ということだ。これは、北朝鮮の金正恩氏への強烈なメッセージと捉えらえる。

 ではなぜ、アメリカが彼を管理下に置いたのか。ここで、先にも触れたアメリカの国務次官補ラッセル氏の発言に繋がる。指導者の暗殺後の北朝鮮を考えてのことなのではないだろうか。もともと、金正男氏は中国の庇護を受けていた。家族もマカオにいたとされるが、それがアメリカに渡ったとするならば、中国とアメリカが対北戦略において、つながっているという証とも取れる。

北朝鮮問題を重視したアメリカは、韓国のTHAAD配備を急いだ

 金正恩氏が、ミサイルの発射と核実験を繰り返す目的は何なのか。かつては、「アメリカに話し合いのテーブルに着かせたい」という狙いがあったが、今となってはそれ以上に、ICBMを完成させて核保有国としての北朝鮮をアメリカに認めさせたいのではないだろうか。

 オバマ前大統領は、ミサイルを次々に発射する北朝鮮に対し、「戦略的忍耐」と言って何もしなかった。しかし、3月15日に訪日したティラーソン米国務長官は、「北朝鮮に対して、アメリカは20年にわたりアプローチの方法を誤り続けていた。今後は新しいアプローチが必要だ」と述べた。トランプ大統領は、オバマ氏とは全く異なる方策をとるということだ。

 さらに、ティラーソン氏は「あらゆる方策を考える」と続けた。これは何か。昨年の米大統領選挙の最中、トランプ氏は次のように述べていた。

 「オバマ氏は、戦略的忍耐と言って金正恩氏と話し合うこともせず、攻撃もしなかった。しかし、今後は2つの可能性がある。1つは話し合い、もう1つは先制攻撃だ」

 ところが、選挙が終わってトランプ氏が大統領になると、「北朝鮮と話し合うのは、もう手遅れだ」と言い出した。もう話し合いの可能性はないだろう。

 ティラーソン氏が韓国を訪れたのは、北朝鮮問題を話し合うためだ。具体的には、北朝鮮からのミサイル対策のため、3~4月中に高高度ミサイル防衛システム「THAAD」を完成させ、韓国に配備することを念押しするためではないだろうか。

 なぜ、わざわざ念押しをしたかと言えば、今、韓国が非常に難しい状態にあるからだ。