議論の続きは、次の米朝首脳会談、あるいはそのまた次の会談というように持ち越される可能性がある。そのうちに、中間選挙が迫ってくる。ここまでやれば、結論は出ずとも、トランプ氏は自身の外交上の成果をアピールできる。その一方で、北朝鮮も核開発の時間を稼ぐことができる。そうなると、話はややこしくなる。

 交渉が長引き、結果として北朝鮮の核保有が維持されるとなると、日本や韓国にとっては最悪のシナリオである。外務省の幹部たちが非常に心配しているのが、そのシナリオになった場合に日本でも核を持つべきだという意見が出てくるのではないかということだ。

 米国でしばしば言われているのは、北朝鮮は米国に届くICBMさえ放棄してくれれば、自国にとって脅威ではないという話だ。しかし、それでは日本と韓国の危機は払拭できない。

 今、僕が米国政府で信用しているのは、マティス国防長官だ。彼は、米国の武力行使に反対する人物である。もし、米国が北朝鮮に武力行使をすることがあれば、韓国や日本に多大な被害が及び、特に韓国では100万人以上の死者が出るという予測もある。そうなると、米国のアジア戦略は破綻すると考えているのである。

 このマティス氏がどこまでその考えを貫き、トランプ政権の中で主張し続けられるのか。彼が去ったら、トランプ政権は強硬的に動く可能性がある。

 日本の小野寺防衛相も、マティス氏を非常に信頼している。小野寺氏とマティス氏の間で一致しているのは、「戦争は、勝っても負けてもダメだ」という点だ。

 米国はかつてイラク戦争でフセインを倒そうとしたが、そのためにイラク国内は混乱し、イスラム国などのテロ組織まで生まれてしまった。米国は非常に大きな損害を被り、国内では「イラク戦争は大失敗だった」という意見が強まり、平和を主張するオバマ大統領が当選した。

 このままでは、日本が望む決着にはならない可能性が高い。これから北朝鮮はどのような反応を示すのか。トランプ氏はどう動くのか。予測は難しいが、僕はトランプ陣営の中でもマティス氏の動向に注目している。