トランプ氏が米朝会談を表明しても、北朝鮮は沈黙している

 今のトランプ氏の頭の中には、99%秋の中間選挙しかない。上院は共和党が勝つだろうと言われているが、下院は高い確率で負けるのではないかとの憶測が広がっている。トランプ氏としては、中間選挙に勝つための策を巡らせているわけだ。

 彼は中間選挙に勝つために、ブッシュ氏やオバマ氏と違い、自分は北朝鮮に対する武力行使も辞さないという姿勢を示していた。これで北朝鮮は相当追い詰められた。

 トランプ氏はその上で米朝会談に臨み、北朝鮮の核廃棄を認めさせようとしているのだ。これを実現して、自身の戦略が奏功したとアピールし、中間選挙を有利に展開しようと考えているのである。

 もう一つ、鉄鋼25%、アルミ10%の関税を課す方針も表明しているが、これも中間選挙対策の一環だろう。しかし、この関税については、世界中が反対している。米国内でも評判は良くない。関税が引き上げられれば、米国企業は高い価格で購入しなければならないからだ。トランプ氏の政策は、米国内でも評価が大きく割れているのである。

 日本の新聞やテレビは、トランプ氏の北朝鮮外交について痛烈に批判している。ただ、ここで注意しなければならないのは、日本のメディアは、大体、米国のニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、CNNの報道を基調にしているという点だ。それらの米大手メディアは、完全にアンチトランプの立場を取っているから、公平性に欠くところがあるのである。

 幹部の相次ぐ辞任があったにも関わらず、トランプ氏の米国における支持率がそれほど落ちていない。38%前後から下がっていないのだ。日本のメディアの感覚と米国内の実態との間には、少し差があると感じる。

 もう一つ、大きな問題がある。トランプ氏が5月に米朝首脳会談を行うと言った後、北朝鮮サイドは公式には沈黙を続けている。これはなぜなのか。

 金正恩氏から「大いにやろうではないか」との声明があってもおかしくないはずだ。これまでトランプ氏と金正恩氏は、絶えず批判合戦を繰り広げていた。その点を考えると、北朝鮮の沈黙は気になるところである。

 北朝鮮に詳しい情報通たちに話を聞くと、「トランプ氏が5月に米朝会談をやろうと表明し、一番驚いているのは金正恩氏ではないか」ということだ。まさか、トランプ氏が話を受けるとは思っていなかったのだろう。どうすればいいのか、北朝鮮サイドも困惑しているのではないかという。

 仮に米朝首脳会談が実現するのであれば、どこで開催するのか。金正恩は委員長に就任してから、一度も外遊をしていないし、他国の政治家にもほとんど会ったことがない。

一度の会談で核廃棄を認めさせることはできない

 米朝首脳会談が行われたら、その後の流れはどうなるのか。北朝鮮は本当に核を放棄するのか。一度の会談で結論が出るはずがない。

 おそらく、最初は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の話はしないだろう。その代わりに、核実験をやらないという約束を取り付けるのではないかと思う。